一定数以上の株を保有している株主に対し、自社の製品や割引券といった特典を提供する「株主優待」。「ここ7年間無収入です」と言いつつ、「優待だけで3人は暮らせます」と話すのは、元プロ棋士の桐谷広人氏だ。優待がある株を400銘柄以上保有しているという、株主優待のご意見番ともいえる存在だ。現在は棋士を引退して「優待ライフ」を満喫する桐谷氏に、ちょっとレベルが高い株主優待の楽しみ方を聞いた。

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 初心者の方に気を付けてほしいことに、「うますぎるものに注意せよ」というのがあります。あまりにもおいしそうな優待がぶら下がっている銘柄です。

 会社が潰れかけている途中で株価が下がっていて、見かけ上、優待利回りがいいだけということもあります。なので、以前の株価も見ておきたいし、「理論株価」(理論的に妥当な株価)を調べてみることも大事ですね。

 ブログで優待のことを載せている人はたくさんいるので、ときどき見てみるといいですよ。期待はずれな優待とか、この優待がよかったとかがわかりますから。

 私は株主優待のおかげで、棋士を引退した後も楽しいことがたくさんあります。映画を見に行ったついでに散歩したり、食事したり。東京・錦糸町にあるレジャー施設「東京楽天地」の株価がどれだけ上がっても、売るともう錦糸町に行かなくなるだろうから売れない、とかね。錦糸町に行くのは、けっこう楽しみなんです。優待のおかげで愛着のある街ができました。

 優待をやっている友人もできて交際も広がりました。すごくありがたいことです。私にとって優待は、生活に必要なものというのもあるんですけど、人とのコミュニケーションをとる道具になったりもするんです。

週刊朝日 2013年9月6日号