『カイジ「命より重い!」お金の話』

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今年(2013年)の夏のヒット作品といえば、銀行員を主人公にしたテレビドラマ『半沢直樹』だろう。その決めゼリフ「やられたらやり返す。倍返しだ!」に喝采を送った人も多いに違いない。お金に関する格言、箴言の類は数知れないが、お金が原因のトラブルは恨みや復讐心に火をつけ、思いがけない事件を引き起こす。そんな解釈も可能だろうか。お金をめぐる面倒なトラブルに巻き込まれないために、身につけておきたい知識と知恵のいくつかを紹介したい。J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」(http//:www.j-cast.com/mono/bookwatch/)でも特集記事を公開中

借金地獄で身を滅ぼさないために

『カイジ「命より重い!」お金の話』

著者はある問題を出す。「銀行から年率12%で100万円借りた。返済は月々1万円でいいといわれた。借金を返済し終わるのは何年後か」(なお、金利は単利とする)。解答例として「A=5年 B=8.3年 C=10年」の3つがあげられているが、答えはそのいずれでもない。正解は「永遠に終わらない」である。最低限これぐらいのことがわかっていないと、この先「借金地獄」に陥る恐れがあるという。

サンマーク出版の『カイジ「命より重い!」お金の話』(著・木暮太一、1575円)は、主人公カイジが借金と闘う福本伸行の人気漫画『カイジ』を「お金の教科書」として読み解いたものだ。消費者金融やクレジットカードが身近になったいま、気軽に借金をして身を滅ぼす悲劇を防ぐために、学校では教えない「お金の知識」をわかりやすく解説する。

借金取り立てOLの悪戦苦闘記

『督促OL 修行日記』

借金の返済も大変だが、借金を取り立てるのも容易ではない。文藝春秋の『督促OL 修行日記』(著・榎本まみ、1208円)は、新卒で信販会社に就職し、支払い遅延者へ督促の電話をかけるコールセンターに配属された著者の奮闘記である。

といっても、海千山千の債務者から次々に借金を取り立てていく痛快な武勇伝のイメージからは遠い。電話のノルマ、1時間60本。やっとつながっても、返ってくるのは、怒声、罵声、「今から殺しに行くからな」といった脅しの文句。もともと文学部出身の人見知りで口下手な性格だ。ストレスで体重が減り、顔中にニキビが出て、何度も心が折れそうになるが、苦難を乗り越えて年間2000億円を回収するまでに至る。電話の向こうのいろいろなタイプの債務者の言い訳も興味深い。

お金と稲の関係とは

『知らないと損する 池上彰のお金の学校』

アベノミクス、円安・株高、消費税引き上げ――。新聞でもテレビでも経済やお金にかかわるニュースのない日はない。貨幣の歴史や銀行の仕組み、投資や保険、税金など現代社会を支えるお金にまつわる基本情報を整理して伝えようというのが、朝日新聞出版の朝日新書『知らないと損する 池上彰のお金の学校』(著・池上彰、798円)の趣旨である。なんでもわかりやすく伝えることに定評のある著者が授業形式で解説する。

お金は物々交換を媒介する手段として生まれるが、日本でお金の起源となったもののひとつに稲、つまり米がある。昔は稲を「ネ」と呼んでいたので、「それはどれだけの稲と交換できるのか」といったやり取りから、財物の価値のことを「ネ」と呼ぶようになった。それが値段の「値」の語源です、といった調子で授業は進む。