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連日、酷暑が続いた今年の夏。「東京の奥座敷」とも呼ばれる奥多摩の渓谷へ、涼を求めて出かけた人もいたのではないでしょうか? その奥多摩への足となるのが、立川駅から奥多摩駅を結ぶ全長37.2kmのJR青梅線です。

現在はE233系が活躍し、中央線へ直通運転も行いますが、いまから35年前まで、旧型国電72系や両運転台車クモハ40が活躍した路線でもあります。1978(昭和53)年3月に引退する前の最末期には、72系4連にクモハ40を連結した5連固定編成で、朝夕ラッシュ時のみの運用となっていました(当連載第46回「青梅線ラッシュ時の"助っ人"クモハ40」も参照)。

青梅線の72系は、1961(昭和36)年から配属が始まり、徐々に従来の17m車や20m3ドア車を置き換えていきました(クモハ40は除く)。1971年に統一された後、1978年の引退まで活躍しました。そんな青梅線72系のサウンドが出てきましたので、紹介しましょう。

まずは、「青梅線73形走行音 羽村〜小作」です。1976年12月5日、下り奥多摩行の中間車モハ72658にて、走行音を録音しました。

青梅線は、中間の青梅駅を境に、線形が大きく変わります。立川駅から青梅駅までの間は、住宅地の中を走り、ゆるやかな上り勾配が続く線形。しかし青梅駅から奥多摩駅までの間は、多摩川の左岸に沿って、奥多摩の山々に分け入る山岳路線となり、きつい上り勾配が連続します。羽村〜小作間の走行音は、立川駅から青梅駅までのゆるい上り勾配にあたるため、モーター音が響く割には、加速が遅いように感じ取れます。

続いて、御嶽〜川井間の走行音も紹介しましょう。同じく1976年12月5日、下り奥多摩行の中間車モハ72553で録音しました。

山岳路線特有の、急勾配、急カーブ、トンネルが連続する区間で、電車は最力行を繰り返しながら走行。途中のトンネル内での最力行では、72系の吊掛けモーター音がトンネル内に響き渡る、非常に珍しいものです。

最後は青梅線名物「拝島のガタガタ音」です。拝島駅を発車した奥多摩行の下り電車が、数々のポイントを通過して行く際、その周辺のレールに付いた無数のキズから発生する、とんでもない音です。0:55頃から断続的に発生しています。

当時、青梅線を利用していた人にとっては懐かしい走行音かもしれません。しかしなぜ、拝島駅の北側のレールに多数のキズが付いていたのか? それは謎のままです……。

○「鉄道懐古写真」撮影時期と撮影場所

※写真は当時の許可を取って撮影されたものです

松尾かずと

1962年東京都生まれ。

1985年大学卒業後、映像関連の仕事に就き現在に至る。東急目蒲線(現在の目黒線)沿線で生まれ育つ。当時走っていた緑色の旧型電車に興味を持ったのが、鉄道趣味の始まり。その後、旧型つながりで、旧型国電や旧型電機を追う"撮り鉄"に。とくに73形が大好きで、南武線や鶴見線の撮影に足しげく通った

(松尾かずと)