妻子ある年上の男性と、情熱的な年下の男子。両方とも好きで、どちらとも別れられない。それぞれに魅力があって選べないし、愛されているという実感や、居心地の良さから、つい2人との関係を続けてしまう。そんな経験ありますか?

 自身の女の業に苦悩するヒロインを描いた『夏の終り』。出版50周年を迎える、100万部を超えるロング・ベストセラー小説である、瀬戸内寂聴さんの代表作が、満島ひかりさん主演で映画化されました。


「夏の終り」
 昭和30年代。染色家の相澤知子(満島ひかり)は、8年間、妻子ある年上の作家・小杉慎吾(小林薫)と暮らしています。と言っても、慎吾は週に半分ずつ、知子の家と自宅を行き来していました。彼は、もう何年も作品を書いていませんでしたが、知子には安定した収入があり、自立しているという自負があったので、慎吾との穏やかな生活に満足していると思っていました。慎吾に離婚してほしいと考えたこともなく……。

 ところが、木下涼太(綾野剛)の訪問によって、知子の気持ちは大きく揺さぶられます。涼太は、12年前に知子が夫と子どもを捨てて駆け落ちするほど、激しい恋に落ちた相手だったのです。でも結局、その恋はうまくいかず、涼太とは別れてしまった知子。


 涼太と再会した知子は、慎吾との生活も続けながら、涼太と関係を持つようになります。やがて、涼太は知子に執着するようになり、慎吾が妻と別れないことを指摘して、知子を責め始めます。涼太の態度を煩わしいと思いながらも、涼太との関係を断ち切れない知子は、慎吾との揺るぎない生活に疑問を持ち始め、不安で落ち着かない気分になってしまいます。


 そんなある日、慎吾の仕事机を整理していた知子は、慎吾の妻から彼への愛情あふれる手紙を見つけ、居ても立ってもいられなくなり……。

 『夏の終り』は、瀬戸内寂聴さんが自らの体験を基に、40歳のときに書いた小説で、これまでも何度か映画やドラマ化(残念ながらDVD化はされていません)されてきましたが、今回の熊切和嘉監督の映画が原作に最も近いと、寂聴さんは語っています。

 知子が夫と子どもを捨てる場面、慎吾と恋に落ちる経緯、涼太との愛欲など、満島ひかりさんの熱演が光ります。自立している女性が愛に迷い、揺れ動き、やがて決断する姿を、満島さんは見事に演じ切っています。

 妻と別れることも、知子と別れることもできない、ずるい男だけれど、どこか憎めない慎吾を小林薫さんが、知子を独占したい思いから、嫉妬と孤独に苦しむ涼太を綾野剛さんが好演しており、つい知子に感情移入しながら、2人を比べていることに気づきます。



 夏の終わりに、知子が下す決断とは? 今の季節にぴったりの本作を見て、狂おしい2つの愛の間で揺れ動くヒロインの気分に浸ってみてはいかがでしょう。

「年上の男性と年下男子との間で揺れ動く女性の映画」DVD紹介

「TANNKA 短歌」


 俵万智の処女長編小説『トリアングル』を映画化。作詞家の阿木燿子の初監督作。33歳のフリーライター・薫里(黒谷友香)は、年上のカメラマン・M(村上弘明)と9年間、不倫していた。そんな中、薫里は行きつけのバーで知り合った年下のバイオリニスト・圭(黄川田将也)とも恋に落ちる。薫里は、Mとの穏やかな愛、そして圭との刺激的な愛の両方に喜びを感じるが……。東方舞踏、ベリーダンス、さらに短歌がキーワードとなり、現代女性の生と性を妖艶に描き出している。

2006年/日本/黒谷友香、黄川田将也、村上弘明/発売元・東映ビデオ 販売元・東映/DVDキャンペーン中につき、2013年9月27日まで2940円、9月28日以降は4935円[R-15指定]/発売中
「恋愛適齢期」


 豪華キャストによる、自分らしく生きることを描いたラブ・コメディー。54歳の人気劇作家でバツイチのエリカ(ダイアン・キートン)は、娘のマリン(アマンダ・ピート)が63歳のハリー(ジャック・ニコルソン)と交際していることに驚く。ハリーは音楽業界で権威を振るう独身富豪で、30歳以下の美女とばかり付き合っていた。ある日、ハリーは心臓発作で倒れ、エリカの別荘で療養生活を送ることに。一方、エリカは、20歳近く年下のハリーの担当医ジュリアン(キアヌ・リーブス)から思いを寄せられる。動揺するエリカは、いつの間にかハリーと引かれ合い……。初老のプレイボーイと、真っすぐな思いをぶつける青年との間で揺れるエリカがキュート。

2003年/アメリカ/ダイアン・キートン、ジャック・ニコルソン、キアヌ・リーブス
ワーナー・ホーム・ビデオ/DVD1500円/発売中