【名作映像案内】番外篇 マイウェイ 12,000キロの真実

今回は韓国映画『マイウェイ 12,000キロの真実』をご紹介します。この映画は、第2次世界大戦時のノルマンディー上陸作戦の際に聯合軍の捕虜となった東洋人ドイツ兵が、自分は日本軍とソ連軍とドイツ軍に所属した経歴の持ち主であると語った、という実話に基づいて作られたそうです。

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マイウェイ場面カット


本作の見所は、1本の映画の中でノモンハン事件、独蘇戦、ノルマンディー上陸作戦という3つの激戦が描かれ、いずれも大変な迫力となっている点です。
本作のストーリーは以下の通り。昭和初期の朝鮮で、2人の少年が出会った。軍人の孫である長谷川辰雄と、長谷川家に仕える朝鮮人の使用人の子供・キム・ジュンシクである。脚力に自信を持つ2人は、初対面の際に競走をするのであった。その後、青年となった2人はマラソン選手としてライバル関係になるが、或る時、ジュンシクは日本軍に徴兵され、ノモンハン事件に従軍することになり、上官として長谷川が赴任してきた。激しい戦闘の中、長谷川とジュンシクはソ連に連行され、強制労働させられることになる。そんな中、ドイツがソ連に侵攻したことから、ソ連は長谷川、ジュンシクらにソ連兵として従軍する機会を与え、長谷川、ジュンシクらは人数分の武器も与えられないままドイツ軍と戦うことになる。戦闘を生き延びた長谷川とジュンシクはそれぞれ別々に、ドイツの同盟国日本軍という立場でドイツ軍に助けを求め、ドイツ兵となる。そして3年後の1944年、ノルマンディーに配属された長谷川とジュンシクは、3年ぶりに再会を果たすのであった……。

本作は軍隊や戦争が持つ非人道的な面をひたすら描き、非常に悲惨で陰鬱な映画となっていますが、一方で、本作は「走る映画」でもあります。長谷川とジュンシクが少年時代に初めて会った時に競走した場面から始まり、青年時代のマラソン大会の場面を経て、ジュンシクは日本軍に所属していた時も、ソ連に強制労働させられた時も、ドイツ軍に所属していた時も、時間さえあればマラソンの練習をしていました。ノモンハン事件の場面では、他の朝鮮人兵士及び中国人女性捕虜と共に逃亡を試みるものの、ソ連の機甲部隊を発見したジュンシクは兵営に戻ってこのことを伝えようとしますが、この時にジュンシクの脚力がいかんなく発揮されています。また、悲惨な場面が多いこの映画の中で、唯一美しい場面となったのが、ノルマンディーに配属されたドイツ兵が空き時間にサッカーに興じ、長谷川とジュンシクがキラキラ輝く海を背景にして砂浜を駆ける場面です。戦争中であることを忘れさせるような、オアシスとも言うべき場面でした。クライマックスにおいて聯合軍がノルマンディーに襲来すると、長谷川とジュンシクは敵の攻撃を避けるために2人一緒に走ります。少年時代の競走でも、青年時代のマラソン大会でも、2人は相手に勝つために走っていましたが、この時だけは、2人が力を合わせ、2人とも生き残るために走ったのでした。この場面は、2人の走りの集大成であると同時に、過去の走りとは全く対照的な、これまでの恩讐を超えた性質を持つものであったと言えます。

ラスト、聯合軍の攻撃によって瀕死の重傷を負ったジュンシクは、自分の認識票を長谷川に託します。長谷川が日本人であることが聯合軍にバレると殺されるかもしれないが、朝鮮人ならば生かしてもらえるのではないかという判断からです。長谷川のせいで今まで散々酷い目に遭ったにも拘わらず、恨みつらみを超えた友情がラストを飾ることで、感動的な映画として幕を閉じたのでありました。

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(文:コートク)