居酒屋チェーン「ワタミ」の創業者で、現在は自民党参議院議員である渡邉美樹氏。ブラック企業の元経営者として批判されることもある渡邉氏だが、彼が理事長を務める「郁文館夢学園」もまた、“ブラック学校”と揶揄されることもある。

どこが“ブラック”なのか? 週刊誌の報道によると「渡邉氏が理事長になってから、教員の給与が3分の2に減り、にもかかわらず労働時間は増え、辞める教員が続出した」(『週刊文春』2013年6月27日号)とのこと。

ここまでは他の一般企業でもありそうな話だが、特に槍玉に挙げられているのが、「400字詰め原稿用紙100枚の反省文」という同校の教育方針。この“罰則”は生徒ばかりか教員にも適用され、しかも手書きでなくてはならないらしい。

はたしてこれは本当なのだろうか? 同校の生徒たちに話を聞いてみると、答えは「YES」。ただし、「100枚」というのは最高枚数で、たとえば学校にCDやゲーム機を持ってきたのが見つかった際の反省文は「10枚」。「自分は決まりを守れませんでした。今後はこのようにして気をつけます」などと書くそうだ。

そして、携帯電話は学校に持ってきてもいいが、在校中は電源をオフにして預ける決まりになっている。それを破ると反省文「100枚」。その上、携帯電話を解約しなければならない。反省文と携帯電話の解約書を提出しない限り、部活動への参加も禁止される。

とはいえ、生徒たちはこの“掟”に対して特に異論はない様子。この携帯電話ルールは学校側と生徒会の交渉で決まったもので、「罰は必要です」(高1男子)と語る生徒もいた。

彼らに学校の印象を聞くと、


「学校はそんなによくもないし、悪くもない。普通じゃないですか」(高3男子)


「学校に特に不満はないです」(高2男子)


「この学校では、いじめがないと聞いて入ってきた生徒が多い」(中1女子)


「入ってよかったと思う」(高2男子)


とあっけらかん。

だが、郁文館夢学園では学期末試験の後、生徒が教員を評価する“アンケート”が行なわれるのだという。そこでは授業のわかりやすさなどが問われ、「ダメな先生は1、2年ですぐ、いなくなる」(高1男子)とのこと。

生徒たちは概して学校への不満らしいことを語ることはなかったが、先生にしてみるとやはり“ブラック”か?

(取材/明石昇二郎&ルポルタージュ研究所)

■週刊プレイボーイ36号「渡邉美樹の『郁文館夢学園』は“ブラック学校”なのか?」より