回転寿司は安く庶民の味方ではあるが、時に表記の魚とは異なるものも使われている。「代用魚」だ。その実態はどうなっているのか。ジャーナリスト・吾妻博勝氏が現状を明かす。

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 軍艦の「イクラ」には「マス子(マスの卵)」が代用されている。一時はサラダ油と海藻エキスを使った「人造イクラ」が出回ったが、安価なマス子の流通で姿を消した。人気の「カンパチ」や「ブリ」にも代用ネタが多い。カンパチの偽装に多用される「スギ」は「コバンザメ」に類似した魚だ。大型魚の「シイラ」もカンパチに偽装されることがある。ブリの代用魚は、大型魚の「シルバーワレフ」が定番だ。

 江戸前寿司に欠かせない「アナゴ」の代用にはペルー産の「マルアナゴ」が使われることがある。その名前からアナゴの仲間を連想するが、別物のウミヘビ科の魚だ。深海魚の「ヒモダラ」を「ヒラメ」や「アイナメ」として提供していた回転寿司店の店長は、私の取材に悪びれる様子もなくこう言い放った。

「どこから入手するのか、業者が得体の知れない魚を持ち込むことがあるが、試食してみて商品にできると判断すればネタとして使う。まったく別の魚でネタ偽装することなど回転寿司では常識だ。だから安く食べられるのだし、いちいち例を挙げればきりがない」

 もちろん、これはすべての回転寿司店に当てはまる話ではないし、産地や原材料名を明確にする店も増えてきた。だからこそなおのこと、安さを理由にネタの偽装を正当化することはできない。   

※SAPIO2013年9月号