[其ノ三 投信ファンダ編]NISAに一番向く投信は何?
「資から貯蓄へ」―。投資を根づかせる制度として来年1月から始まる「NISA」に投信会社が新規の商品を続々と打ち出している。今までの投信との違いは?


「NISA」開始で新規設定が相次ぐリスクコントロール型

来年1月にスタートする「NISA(少額投資非課税制度)」。一定の金額までの上場株式等と投資信託の配当・譲渡所得が非課税になる制度のことです。

現在、上場株式等と投信は、証券優遇税制により10%の軽減税率(本来は20%)が適用されていますが、この軽減措置が今年いっぱいで終了することに伴い、新たな減税措置として設けられた制度です。

本家英国のISAでは預金も非課税枠の対象となっていますが、日本版のNISAでは上場株式等と投信のみが制度の対象です。開設可能な口座は1つの金融機関に、1人につき1口座で、非課税期間は投資を始めた年から最長5年間です。

毎年100万円までの上場株式等と投信の時価の合計額が非課税対象になりますが、未使用の非課税枠を翌年に繰り越すことはできません。また、5年の間に保有する株式や投信を売却することは自由ですが、売却した分の非課税枠の再利用はできません。さらに、非課税枠の適用はあくまでNISA口座内で完結されます。つまり、損失が出ても他の口座との損益通算をすることは認められていないのです。

このように、NISAは確定拠出年金ほど柔軟にリバランスが行なえないため、大きな損失が生じると身動きがとれなくなる可能性があります。現在、各投信委託会社は、NISA向けの商品を相次いで投入しています。その多くは、基準価額の下落リスクを抑えながら、安定的なリターンを狙うリスクコントロール型と呼ばれるタイプで、従来のバランス型ファンドよりもリスクを低減させるための指針が明確です。

たとえば、「高格付債券ファンド(為替ヘッジ70)」(日興アセットマネジメント)は、純資産の約70%を対円で為替ヘッジを行ない、「楽天みらいファンド」(楽天投信)も先進国通貨のみについて為替ヘッジを行ないます。

また、「日本株・市場リスクコントロールファンド」(損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント)や「スマート・ミックス・Dガード(為替ヘッジなし)」(大和投資信託)のように、独自の運用戦略によって機動的に資産配分を変えながら基準価額の下落をなるべく抑制するタイプもあります。



このように、リスクコントロール型は「基準価額の下落を極力避ける」ことを前面に押し出している点に特徴があります。

NISAには確定拠出年金よりも幅広い商品の選択肢が用意されていますが、少なくとも現状では非課税の適用期間が最長5年に限定されています。

このため、ハイリスク・ハイリターンを狙う商品に投資して、最終的にNISA期間終了時に損失が生じた場合、売却益が非課税になるという恩恵を享受できません。一見すると?控えめ〞な運用方針ながらも、着実にリターンを狙うリスクコントロール型は、NISA制度と相性がよい投信といえます。





【今月の投信師匠】
篠田尚子(SHOKO SHINODA)
トムソン・ロイター・マーケッツ

慶応義塾大学法学部卒業。リッパー・ジャパンに所属するファンドアナリスト。情報量の多さと分析の鋭さは天下一品!



この記事は「WEBネットマネー2013年9月号」に掲載されたものです。