[其ノ二 FX 投資戦略編]豪ドル/米ドルの押し目買い 売られすぎの豪ドル。買い戻しは近い?
為替の急速な調整には一服感が出てきた。では、ここからのリバウンドで強いのは?


中国不安は続くが、過去最大水準の豪ドルの売りは膨らみすぎか

豪ドルは5月以降、他の商品通貨や新興国通貨と同様に崩壊し、対米ドルで約13%下落しました。

RBA(豪州準備銀行)による利下げの一方で、米国FRBの量的緩和縮小の方向性が明確になりつつあり、米国の金利上昇が米ドルを押し上げ、豪ドルなど他の通貨を押し下げました。

さらに、豪州にとって重要な輸出先である中国の景気見通しが悪化。また、中央銀行である中国人民銀行の流動性引き締め姿勢が中国の銀行セクターへの不安感を急速に高め、短期金利の上昇と中国株価の急落につながったことも豪ドル下落に追い打ちをかけました。

人民銀行は最終的には金利上昇を放置することはせず、市場の鎮静化に乗り出しましたが、中国で問題となっているシャドーバンキングや不動産投機はすぐに解決するものではなく、中国景気は少なくとも2015年にかけて7%台半ばまで成長率鈍化が続く予想です。こうした中、豪ドルの見通しが急速に改善する可能性は低いでしょう。

とはいえ、1カ月足らずで10%以上の下落はオーバーシュートです。2010年5月、2011年8月・9月、2012年5月も同様で、大幅下落が見られた後は大きく反発しています。

また、縮小傾向にあった豪米金利差も、直近では豪州の金利上昇が米国分を上回る日も多く、縮小が一服し、再拡大の兆しが見られます。

シカゴIMM(国際通貨先物市場)の投機筋のポジションを見ても、豪ドルは昨年12月の史上最大の買い持ちから、6月には史上最大の売り持ちへと一気に転じています。IMMはトレンド追随型なので、市場実勢に対して先行性はありません。しかし何かのきっかけで急速に膨らんだ売り持ちポジションが解消されて、豪ドルが押し上げられる可能性も高まっています。豪ドルにとって最も望ましいのは、中国景気に明確な回復の兆しが出て、RBAのハト派姿勢が転換することですが、そうしたサインが出るのを待たずとも、自律調整の機運は高まっているといえます。




【今月の先読み軍師】
山本雅文(MASAFUMI YAMAMOTO)
FXストラテジスト

日本銀行で10年にわたり重要な為替取引や調査に従事した後、日興シティグループやバークレイズ銀行でチーフFXストラテジストを務めた。



この記事は「WEBネットマネー2013年9月号」に掲載されたものです。