富裕層増税から国外脱出を図る危険性

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富裕層への増税が国際的なトレンドに

米国ではオバマ政権が、年収25万ドル超の富裕層向け減税措置の打切りを表明。フランスではオランド政権が最高所得税率を40%から75%に引上げる税制改正法案を提出し、国民会議で可決されました。ところが、いずれも富裕層からの激しい抵抗にあい、米国では45万ドル超への縮小となり、フランスに至っては多くの富裕層がベルギーへの移住を申請し、また、憲法院が違憲判決を出すなどしたため、修正法案の提出を余儀なくされたのは記憶に新しいところです。

日本でも富裕層への課税強化が顕著になっています。具体的には、所得税および相続税の最高税率引き上げや給与所得控除の上限設定、相続税の基礎控除引下げなどが実施されました。与野党を問わず、また、国民の大多数もこれを支持しています。結果、高額所得への適用税率は、国税地方税を合せ55%となり、事業者には別途3〜5%の個人事業税が課されるため、稼いだお金の半分以上を税金に持っていかれる人もいます。フランスの極端な高額所得者課税に対する違憲判決は、本来、公平公正であるべき租税の原則から逸脱しているとの理由でなされました。日本の最高税率も既に60%を超えており、さならる税率引き上げ余地は少ないといえるでしょう。


多国籍企業や新興富裕層による国際的な租税回避行為が多発

そのような中、経済のボーダレス化もあって、多国籍企業や新興富裕層による国際的な租税回避行為が話題に上ることが多くなりました。仕組みは似通っていて、シンガポールや香港などの低税率やキャピタルゲイン優遇策で外資導入を図る国・地域への形式的な本社移転による法人企業再編や、OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構の略)の「183日ルール」を利用した個人の国外移住が典型です。「183日ルール」とは、経済活動の便宜を図るため、租税条約で例外を認め、勤務地国での課税を免除する制度です。このような傾向は今後さらに加速すると予想され、税務当局も国外財産報告制度や出国税を検討するなど、国境を跨いだ富と税の囲い込み競争が始まっています。


所得再分配機能の壊死が社会の崩壊へ。移民富裕層へも危険が及ぶ

国際間の税制の違いや資本誘致策を利用した節税を目論む富裕層の主張は、次の様な点に集約されます。

■働かない者のために利益の半分も税金で持っていかれるのは納得できない。
■税金を払わずに再投資をすればもっと儲かる。
■払った税金が適正に使われていない

人間本来の我欲に忠実であること、そして政治や行政に対し根強い不信感を持っていること仕方ありません。しかし、こうした富裕層は重大な「あること」に気付いていないようです。税による所得再分配機能が壊死し、富の偏在が許容範囲を超えた場合に国がどうなるか。社会不安を誘引し、既成秩序崩壊への道を歩みます。それは過去の歴史を見れば明らかです。

自国以外で、貧富格差への怒りが立場の弱い一部の移民富裕層に向けられたとき、母国の後ろ盾なくして彼らはどうやって生活や財産を守れるでしょうか?目先の損得にとらわれ、中長期的な視野でのリスク管理が欠落しているともいえます。どうしても節税策を講じたいなら、法人化をオススメします。この方が安全・確実です。


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