[其ノ二 FX プロディーラーの視点!]乱高下相場での短期&中期戦略
米国FRBが金融緩和からの出口戦略を表明して、新興国通貨が暴落するなど為替市場は嵐の季節。不安定相場を乗り切る長期投資&短期売買の二刀流投資術とは?


米ドル高トレンドに変化はないが、当面は不安定な相場が続く

参院選が終わり、安倍政権は「ひたすら実行あるのみ」の第2ステージに突入。昨年来の急速な円安株高をもたらしたアベノミクスは期待感が先走りする展開でしたが、いったん調整。今後は、いまだ抽象的な成長戦略をいかに現実化していくかに為替市場の関心も集まっています。

一方、米国の中央銀行・FRB(連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長が量的緩和(QE)の出口戦略に意欲を示したことで、世界中の金融市場は混乱しています。

本来なら、FRBが景気を刺激するために行なってきた金融緩和の縮小は、それだけ米国の実体経済がよくなっているということで、歓迎すべきことです。

しかし、市場では「失業率が7・5%台に高止まりしている状況で?出口〞を言いだしてしまっていいのか」という危機感から、債券・株式の同時安に。豪ドルなど資源国通貨や新興国通貨も米ドルに対して暴落しています。この出口戦略に対する根強い不安感のせいで、米ドルが日本円やユーロに対しては弱くなる?二重構造〞も生まれ、為替は非常に不安定に。

長い目で見れば、米国経済がよくなる以上、米ドル高トレンドに変化はありません。米ドル高が続くなら、豪ドルや新興国通貨以上に出遅れた円やユーロが米ドルに対して売り込まれるはず。生保や年金などジャパンマネーが為替ヘッジをつけない?裸〞の形で海外に出て行き、円安を加速させる流れも予想されます。

とはいえ、当面、混乱は続くでしょう。こうした「トレンドは明白、でも目先は不安」という時期には、長期投資とリスクヘッジのための短期売買を完全に分けて考えることが重要になってきます。

長期投資の対象は、金利収入を期待できる豪ドル、カナダドル、NZドルなどがメインターゲット。円高に多少振れても焦るべきではありません。円安トレンドに揺らぎがない以上、保有していることを忘れる、というか、あえて動かさないようにしましょう。

では、長期ポジションで為替差損を抱えるリスクをいかにヘッジするかといえば、レバレッジを利かせた米ドル/円やユーロ/円の短期売買で、という発想が必要になってきます。



長期ポジションを守るための短期売買という逆転の発想

短期売買というと?難しい〞と感じる方も多いでしょう。まずは、米ドル/円などのチャートをよく見て、為替レートが乱高下しているレンジがどのレート帯かを探すことが重要です。

米ドル/円の場合、5月下旬以降の急落の際につけた安値は93円70〜80銭。この下げ止まりポイントは日銀の異次元緩和による米ドル/円急騰の出発地点のレートです。

さらに昨年9月の安値77円台から今年5月の高値103円70銭の、ちょうど38・2%戻しが93円台ミドル。つまり、米ドル/円は黄金比でもサポートされた93円50銭あたりを安値、100円近辺を高値にしたレンジでしばらく推移する可能性が高いといえるでしょう。

であれば、このレンジの中で自分の取りにいく値幅に応じて売買を繰り返すという逆張り手法が得策でしょう。

自分なりに為替の想定レンジを決め、売りでも買いでも勝負して、確実に取れるところを取っていくのが短期売買の極意。最近は株価と為替レートの連動性が高まっているので、両者の相関関係も探ってみましょう。むろん、予想がはずれたと思ったら即損切りする勇気や即断即決力も短期売買では必要になります。

一度、鮮明になったトレンドは一朝一夕には変わりません。相場が不安定な今こそ、短期売買というリスクヘッジのための?防衛術〞を鍛錬するチャンスなのです。



【今月のカリスマ軍師】
上田眞理人(MARITO UEDA)
FXプライム 取締役

東京銀行、モルガン銀行、ドレスナー銀行などで為替ディーラーや外国為替部長を歴任後、現職。



この記事は「WEBネットマネー2013年9月号」に掲載されたものです。