『上京ものがたり』でヒロイン菜都美役を演じた北乃きい

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「ぼくんち」や「毎日かあさん」の西原理恵子の自伝的物語の映画化『上京ものがたり』(8月24日公開)で、主演を務めた北乃きいを直撃。彼女が演じたのは、田舎から上京し、いろんな困難にぶつかりながら、絵の道を目指す美大生の菜都美役。インタビューでは、ヒロインの役作りや撮影秘話、自身の恋愛観まで、いろんな話を聞かせてくれた。

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まずは、脚本を読んだ時の感想から。「リアリティがあって、すごく面白いと思いました。私自身も神奈川から上京しているので、共感できる部分がありました。菜都美は来るもの拒まずで、自分とは違うタイプですが、サバサバしてるところや、決めたらやり抜かないと気が済まないところは似ていると思いました」。

確かに菜都美は「来るもの拒まず」で、苦学生ながらも、水商売のバイトで出会った良介(池松壮亮)が転がり込んできても、受け入れてしまう。このふたりのシーンは、実に自然体で心地良い。「池松さんは同じ年ですが、芸歴はずっと上だし、私は池松さんのお芝居が大好きでした。だから、共演できてとてもうれしかったです。撮影ではカットがかからないから、後半はアドリブでやるしかなくて。でも、池松さんは何を投げても返してくれるし、そこに良介として生きている感じでやってくださるので、すごく楽しかったです」。

プー太郎の良介みたいな男性については「ダメです」と苦笑い。「まだ10代だったら良かったかもしれないけど、20歳を過ぎて、ああいう男の人には惹かれないです。やっぱり安定を求めますね。知り合いとしてなら良いけど、お金にだらしない人はダメです。浪費家はダメだと父からも言われていますし(笑)」。

映画、ドラマ、舞台と、マルチに活躍する北乃きい。今後、彼女が目指すのはどんな女性像なのか?と尋ねると、「臨機応変な女になりたい」と答えてくれた。「臨機応変にできるのは、頭が良い人ですよね。私、頭が固いんですよ。何でもかんでも腑に落ちないとできなくて、柔軟な対応ができないタイプ。菜都美はもっとほわっとしていますよね。自分ももっと、いろんなことに身をゆだねられたら、仕事も楽にできるのかなと思う時があります。もう少し肩の力を抜かないと、見ている人も疲れちゃうだろうなと」。

2012年は、雪之丞一座 参上公演 ロック☆オペラ「サイケデリック・ペイン」という舞台にもトライしたが、そこでもいろんなことを考えたそうだ。「舞台でも学んだのは、100出すとダメということです。100出すと怪我をするし、失敗するし、お客さんも受け止め切れないから、70で行けと。でも、これがなかなかできなくて。芝居を少し抜いてできるところまで行けたらすごいなと思えるんですが。歌でもボイストレーニングの先生から固いと言われます。だから、もう少し柔らかい感じ、とっつきやすい感じになれると良いかなと」。

近年どんどん活躍の場を広げ、いろんな分野にトライしてきた北乃きい。役に対しては常にフルスロットル。2013年は、『コドモ警察』(13)、『爆心 長崎の空』(公開中)、『上京ものがたり』と、いずれの作品も毛色が違うが、スクリーンの中の彼女は、常に演じた役として確かに存在している。今後が楽しみな22歳だ。【取材・文/山崎伸子】