今、日本で個人が買える投資信託は全部で3376本。しかし、その中で「今、手元にお金がなくても個人が安心して資産を作れる投資信託」は、3376本中、たった9本だけだった!金融業界を20年以上見続けてきたセゾン投信社長が語る、読むだけで「投資信託」のことがすぐわかる、ここだけの話。今回は、販売会社で力を入れて売られることの多い「テーマ型ファンド」、「ターゲットイヤーファンド」について。証券会社や銀行の窓口で、これらを勧められたら要注意です!

一見わかりやすい
テーマ型ファンドに気をつけろ!

 投資信託のなかには「テーマ型」と呼ばれるタイプがあります。これは、たとえばIT、地球環境、クラウドコンピューティング、食糧問題など、特定の経済テーマを投資信託の運用方針に掲げ、そのテーマに関連した企業の株式などに投資するファンドです。

 IT関連ファンドであれば、コンピュータ会社、家電、電話会社、半導体メーカーなど、ITのハード面、ソフト面に関連する企業の株式のみを組み入れて運用します。

 こういったテーマ型ファンドの良いところは、何といっても分かりやすさという一点に尽きます。日頃ニュースなどで見たり聞いたりしている事柄が、投資信託名に反映されていたりしますから、投資信託のことはよく分からないという人でも、とても買いやすいのです。つまり売る方も勧めやすいということです。

 しかし、ひとつのテーマが株式市場において長く支持されるということは、まずありません。どんなテーマでも、せいぜい2年も話題になり続けたら、自然に飽きが来ます。そうなったとき、それまで話題になっていた投資のテーマに関連する株式は、一気に株価が急落し、そのテーマに関連した企業の株式を組み入れていた投資信託の運用成績も、どんどん悪化していきます。

 購入するときに、どれだけ「長期的なテーマだから」と説明されたとしても、テーマ型ファンドの寿命は短いのです。それなのに、「長期投資には最適です」などと言ってこれを売るのは、詐欺にも等しい行為といえるでしょう。

今まではこんなテーマ型ファンドが流行った

 ちなみに、これまでさまざまなテーマ型ファンドが登場してきました。古くは1984年頃に、「バイオブーム」があり、バイオ関連銘柄に投資するバイオファンドが登場しました。そして80年代の後半にかけては、ひたすら日本株ファンドばかりが設定されるわけですが、これも見方を変えれば、「日本株」という、過去最高値をどんどん更新し続けていた日本の株価をテーマにしたテーマ型ファンドであると言えなくもありません。

 そして90年代に入って日本株は急落。バブル経済が崩壊したわけですが、その後も折に触れて、さまざまなテーマ型ファンドが登場しました。90年代以降のテーマ型ファンドのなかでも高い注目を集めてきたものとしては、次のような投資信託があります。

1992年〜1993年 香港ファンド
1998年〜2000年 ITファンド
1999年〜2000年 第一次エコファンド
2002年〜2003年 社会貢献ファンド
2007年〜2008年 第二次エコファンド 水関連ファンド
2010年〜 クラウドコンピューティング 漁業権 シェールガス バイオ

 このように、さまざまなテーマが浮上しては、どんどん新しいテーマを求めて移ろっていきました。

 思うに、テーマ型ファンドは、株式市場において、そのテーマが一番物色され、株価がまさにピークを付けようというところで新規設定されるパターンが多いようです。言うまでもなく、株式市場での関心が高まっているときというのは、世間一般にもニュースなどで取り上げられていることが多く、誰もがそのテーマについて、多少の関心を示しているからです。その局面で、タイミングよく設定されれば、投資信託にたくさんお金が集まるという算段です。

 そう考えると、テーマ型ファンドはいくら「長期的なテーマです」といっても、実は短期売買向けのファンドであると考えることができます。つまり、新規設定が相次いでいるときに買い、うまく基準価額が値上がりしたら、あまり欲張らずにさっさと解約して利益を確定させる。そんな運用が適しているといえるでしょう。ですからテーマ型ファンドは、何をテーマに掲げたとしても、短期売買の投資信託なのだと割り切る必要がありますし、長期的な資産形成を行なうのであれば、最初からはずしておいたほうが良いファンドともいえます。

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