[其ノ一 株ファンダ編]信用取引のシコリ大!取り組みに要注目
いわゆる「取り組み」の状況で見ると2000年のITバブル崩壊時に似ていなくもない現在。自律反発と自律反落を繰り返すもみ合い相場では「需給を見たほうが安全」という話。


2割以上の指数下落、ダメージの度合いを信用取引状況で見ると?

相場の動きには3パターンあります。当たり前ですが、「上がる」「下がる」「もみ合う」です。急落した5月23日までが文句なしに「上がる」、その後が「下がる」、そして今後は「もみ合う」になる確率が高いと思われます。

日経平均株価が1万3000円を下回った6月第1週と第2週に、外国人は下落局面で現物株を2週とも買い越していて、安いところを買う姿勢がボンヤリ見えました。外国人買い自体の勢いは小さくなっていますが、変化はないようです。

だからといって「待っていれば元に戻る」とタカをくくるには無理があります。今は、下がったら買う人がいても、戻れば売る人が同じくらいいるからです。日経平均などの指数が高値から2割以上も猛スピードで調整した後遺症が心配されます。

ダメージの度合いを知るうえで参考になるのが3市場(東証、大証、名証)の信用取引状況です。

6月第1週時点の信用評価損益率は▲(マイナス)15・65%と、前の週の▲7・44%から損失は倍に。評価損益率▲15%といえば、アベノミクス相場開始前(昨年11月)と同水準です。ちなみに新興市場も例外ではなく、ジャスダックの信用評価損益率は前の週の+7・84%から一転して▲14・69%に悪化。まさに「天国から地獄」、しかも急すぎる下げに対応できず、気づけば高値つかみした株を持ったままの現状が垣間見えます。

アベノミクス相場以前のような傷を抱える投資家の比率がすさまじいことを示すのが信用倍率(買い残高÷売り残高)です。5月最終週時点で信用倍率が6倍を超え、6月第2週には7倍になりました。



これはすごい数値で、6倍超え自体、2000年4月以来のこと。後に「ITバブル」といわれた大相場が崩壊する起点になった局面です。

当時は、日経平均が2万円の大台を突破し、全員で上を向いていた時期でした。そんな時期の?ファーストクラッシュ〞で、個人投資家の多くが安いと判断して買ってしまう状況でした。今回もそれに似ている面があります。「億おくり人びと」などという言葉が生まれるほどの株ブーム、その後の突然の急落で急増した信用買い、そして売り損なって塩漬け……。2000年4月の信用倍率6倍台以来、実に丸3年も株価は低迷し、日経平均はほぼ3分の1になるほどでした。

今回が当時とまったく同じとは言いませんが、ダメージが残った状況では「自律反発」してもすぐに「自律反落」する、その繰り返しが「もみ合う」につながってしまうと考えられます。

信用倍率が極端に高い銘柄もあります。こういった銘柄には注意をしなければなりません。信用倍率6倍以上の状態は、日本株全体で見ても「取り組みが悪い」ことを意味しています。

ここから銘柄選別をするのなら、業績よりも信用取引の「取り組みが悪くないもの」を探すべきでしょう。

信用の取り組みがいい大型株ベスト5

ANAホールディングス(東1・9202)
215円(1000株)

信用倍率は常時1倍台で、信用需給に振り回される銘柄ではない。コスト改革の成果で、今期最高益へ。

ソニーフィナンシャルホールディングス(東1・8729)
1627円(100株)

売り残が買い残を上回る売り長銘柄だ。株の保有が少なく、「株安・債券高」の局面に強い生保株。

電通(東1・4324)
3140円(100株)

昨年比では買い残が増えたが、それでもほとんどが信用倍率1倍未満。東京五輪決定なら強烈な踏み上げ相場か。

高島屋(東1・8233)
1046円(1000株)

株価1000円手前で信用の売り買いが拮抗。再び大台の1000円を超えれば買い戻し相場に発展しそう。

ヤマトホールディングス(東1・9064)
2185円(100株)

売り残が買い残のほぼ2倍残る状態。今期は8期ぶりの営業最高益が有力で、好業績の好取り組み銘柄だ。

※株価は2013年7月8日現在。



【今月のファンダ師匠】
岡村友哉(YUYA OKAMURA)
金融ジャーナリスト

証券会社の営業、金融情報ベンダーでアナリストを務めた後、現職。日経CNBCでキャスターをこなす。



この記事は「WEBネットマネー2013年9月号」に掲載されたものです。