シャドーバンキング(影の銀行)問題や、不動産バブル崩壊への懸念など中国は土壇場に追い込まれている。今の事態に中国政府はどのように対応しているのか、今後の可能性について大前研一氏が解説する。

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「シャドーバンキング(影の銀行)」問題で土壇場に追い込まれている中国政府は、今のところ“緊縮令”を敷いている。不動産バブルを抑えるため、事実上、正規の銀行の窓口を閉めてしまったのである。

 その背景には、景気が悪化しても刺激策を見送って中国人民銀行(中央銀行)からの資金供給も絞り、市場原理による淘汰(とうた)で構造改革を進めるという李克強首相らの方針(リー〈李〉コノミクス)があるとされる。結果、シャドーバンキングの金利は5〜6%から13%に跳ね上がったが、中国人民銀行の周小川総裁はほったらかしにしていた。

 普通、金利は7%を超えたら5年間で倍返す必要があり、国債でも暴落すると言われている。それを看過していたということは「毒をもって毒を制す」考えなのかもしれないが、それだと世界中に混乱が拡大するおそれがある。実際、中国人民銀行は、硬直的な金利がシャドーバンキングを拡大させているという国際的な批判を受け、7月20日から銀行の貸出金利の下限規制を撤廃するなど徐々に手綱を緩めつつある。

 最終的には中国も、日本やアメリカと同じように「潰す銀行」と「潰さない銀行」を分けて処理するしかないだろう。ただし、中国政府は紙幣を大増刷するかもしれない。その場合はハイパーインフレになり、鬱積している国民の不満や怒りが爆発して各地で暴動が起きるだろう。

※週刊ポスト2013年8月16・23日号