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文学マニアにとって「あの文豪が愛した店」はいつの時代も気になる存在。好きな作家が足しげく通ったとなると、同じ席に座り、同じメニューを注文してみたいというファン心理が働いて当然だろう。かねて多くのもの書きが居を構えた都内では、今なお彼らが愛した名店が本好きのおなかと心を満たし続けている。今回はそのうちの2店を紹介。

○赤塚不二夫ご用達の台湾料理店

まず紹介するのが、大江戸線・西新宿五丁目駅徒歩2分の台湾料理屋「山珍居」。こちらのお店は、「日本SF作家クラブ」が誕生した店としてその名を知られる。

「日本SF作家クラブ」とは、昭和38年(1963)に11人のSF作家・評論家・編集者によって結成された団体である。ちなみに11人とは、小松左京、半村良、光瀬龍、星新一などそうそうたるメンバー。しかも、歴代会長や事務局長には、夢枕獏、筒井康隆、永井豪、眉村卓なども名を連ねている。

店内には大物のサインが所狭しと並んでいて、食事しながらお目当ての作家の書いたものを探すだけでも相当に楽しい。

しかも、小林亜星などの有名音楽家や栗本薫などといった大御所作家、大企業の社長のものまで、ジャンルレスなサインで店内が飾られている。とりわけ赤塚不二夫とは懇意にしていたらしく、店長の黄善徹(こう ぜんてつ)さんは、氏に描いてもらった自身の似顔絵を「一生の宝物」と語り、名刺の裏に印刷しているのだ。

ここまで大物たちに愛された店となると、味への期待も大きく膨らむ。そこで、「店一番の自慢のメニューを教えてください」とお願いしたところ、出してきてくれたのが「エンチャン(煙腸)」。特製豚の腸詰めソーセージである。口にすると鼻を抜ける秘伝の八珍香料の香によって、かむほどに味わいが増していく。つけあわせの新鮮な野菜との相性も抜群だ。クセのあるネギやパクチーが、深みのある味をより引き立てているのがまたいい。

ちなみにこのエンチャン(煙腸)は、コースメニュー等にも含まれているそうなので、大勢で来店してその他のいろいろなメニューを楽しむのもいいだろう。会社のレポート作成がはかどらないわ〜、なんて日にレポート用紙とにらめっこしながらビール片手につまめば、ちょっとした作家気分に浸れるかもしれない。

●information

山珍居

新宿区西新宿4丁目4-16

○江戸川乱歩も絶賛する和菓子屋

続いて紹介するのは、JR・東京メトロ池袋駅より徒歩1分の和菓子屋「池袋 三原堂」。昭和12年(1937)創業の老舗だ。

この店で人気を博しているのは、厳選した材料のみを使って仕上げたもなかやどら焼き、サブレといったやさしい味わいの銘菓たち。その品質が高く評価されて、全国和菓子大品評会大臣賞受賞の快挙を遂げている他、ショーケースには、豊島区名産品50選に選定された商品も並ぶ。

さて、この名店を愛した文豪は誰かというと、池袋の地と大層ゆかりの深い江戸川乱歩である。若いころから転々と引っ越しを繰り返していた乱歩が、46回目の引っ越しで移り住んだのが池袋なのだが、この地を気にいった乱歩は、以来、70歳で亡くなるまでの31年間を池袋で過ごした。

その間、乱歩が最も足しげく通った店のひとつがこちらの和菓子屋。何と作中にも、「この店は池袋名物のうちでも光った存在の一つであろう」との言葉を残しているほどの気に入りようだったのだ。

その賛辞に対して三原堂は、乱歩が31年間を過ごした邸宅に今なお残る土蔵(2003年に豊島区指定有形文化財に指定)にちなんだブッセ、「池袋 乱歩の蔵」(5個1,010円〜)を開発。ふんわり焼きあげたブッセに挟まれたチーズバター(杏ジャムバージョンもあり)が口の中でやさしく溶ける逸品だ。

また、池袋を象徴する鳥・ふくろうの姿を模した「池ぶくろう最中」(5個1,000円〜)も人気。とぼけた表情のふくろう型もなかに、北海道十勝産小豆粒あんと求肥が挟み込まれたこの銘菓は、池袋土産としてもイチオシだ。パッケージも中身も抜群にかわいいので、贈られた側も思わず笑みがこぼれることだろう。

ちなみにこちらのお店、2階の甘味処ではクリームあんみつ(820円)や田舎しるこ(700円)などのメニューも供しているので、池袋でのショッピング休憩などに利用するのもおすすめだ。

(OFFICE-SANGA)