お盆休みのUターンラッシュが始まり、ガソリンの残量を気にしながら渋滞の高速道路を運転しているドライバーも多いはず。そんなイライラをさらに増幅させる発表があった。ガソリン価格が6週連続で値上がりし、1リットル当たり160円20銭となったのだ。

「最近は満タンにすることはほとんどなく、20〜30リッターと細かく給油して値段が下がるのを待っていたのですが……。このまま価格が上がり続けるなら、家族とのドライブ旅行も近場で済ませるしかありませんね」(40代会社員)

 2000年代前半に100円を割っていた時期もあったことを考えれば、消費者にとっては大きな痛手である。いま、なぜここまで高騰しているのか。和光大学経済経営学部教授の岩間剛一氏(専攻は資源エネルギー論)に聞いてみた。

「ひとつは原油価格そのものが上昇しているからです。エジプトで軍事クーデターがあったり、隣国シリアの内戦が長期化したりと産油国の中東で地政学的リスクが高まり、原油価格の押し上げ要因になっています。

 もうひとつは、アベノミクスの関係で円安が進展していることが挙げられます。エネルギー業界はほぼ全量を海外からドル建てで輸入しているので、支払い額が増えている。中東リスクと円安のダブルパンチで160円を超えているのです」

 さらに、1年でもっともガソリンの消費量が多いお盆期間、しかも今年は猛暑ゆえにガソリンスタンドを運営する小売業者も強気の価格設定をしているという。

「お盆期間で遠出のマイカー需要が増えるうえに、猛暑でエアコンをかけるから燃費が悪くなりガソリンの消費量が増える。また、乗用車だけでなくアイスや生鮮食品を運ぶトラック用の軽油販売も増えているので、輸入額の増加分を価格転嫁しやすい環境にあるのです」(前出・岩間氏)

 しかし、ガソリンスタンドの経営は決して安泰とはいえない。1994年のピーク時に6万か所あったスタンドは、激しい過当競争にまみれた結果、4万か所以下にまで減った。ハイブリッド車などの普及でガソリン需要が減ったことも経営悪化の要因だ。純粋な価格転嫁以上に値上げすることは、これからも厳しい経営判断となる。

 では、気になる今後のガソリン価格はどう推移していくのだろうか。

「短期的にみれば、中東情勢に解決の糸口が見えないことで160円台の半ばまで上がって高止まりすることは十分に考えられます。もし、イスラエルがイランの核施設を攻撃するなんて緊急事態が発生すれば、180円台まで上昇してもおかしくはありません」(岩間氏)

 かつてガソリンの最高価格は1979年の第二次石油ショック時と、2008年のリーマンショックによる投機マネーの原油市場流入と、2度にわたり180円台まで上昇した。ただ、現在の原油市場の相場から見ると、そこまで高騰することは考えにくいという。

 むしろ、中長期的には大幅に原油価格が下がってくるとの見方もあるのだ。

「アメリカのシェールガス革命が10年、20年にわたって世界に波及すれば、シェールオイルという非在来型の石油の生産量も増えてくるので、原油価格は再び下がってくるかもしれません。既にアメリカではそんな見通しから燃費の悪いSUV車や大型のピックアップトラックが売れています。

 日本国内でも低燃費車の割合が伸びて“ガソリン離れ”が一層加速することと、さらなるスタンドの淘汰で、原油価格の上昇をそう簡単に末端価格に転嫁できない状況は続きます。それらを考え合わせると、2020年ごろに再び100円を割るぐらいまで下がってくることだってあり得る話です」(岩間氏)

 世界情勢と各国のガソリン需要によってまだ乱高下が予想される原油価格。いずれにせよ埋蔵量には限りがある資源だけに、将来的にいつまた高騰してもおかしくないという覚悟はもっておいたほうがよさそうだ。