想定為替レートで企業業績に明暗。円安リバウンドで輸出関連が再上昇
昨年11月から始まったアベノミクス相場。日経平均株価が1万5000円を突破していく過程では、「日本株高は夏の参議院選挙まで」という声も上がっていた。しかし、参院選後の大胆な政策実現が見通せてきた今、ここへ来て新たなテーマが次々と浮上している。アベノミクス第2幕が始まり、日経平均は二番天井に向かう!


参院選を通過し、衆参のねじれが解消されれば、アベノミクスの第2幕がスタートしそうだ。

アベノミクス第1幕では、3本の矢のうち、1本目の矢である「金融緩和」を好感して、ノンバンクを筆頭に金融セクターが上昇。また、日銀の異次元緩和を受けて円安が進行、自動車やハイテク関連銘柄も軒並み値を飛ばした。

マーケット関係者の中では、3本目の矢である「成長戦略」に関連する銘柄探しが行なわれているが、ここはあえて1本目の矢である金融緩和に再度注目したい。

安倍政権が走り続ける限り、金融緩和の最大効果を図り続けるのは間違いない。幸い外国為替市場では、いったん円高への押し目が入った後で再度1ドル=100円台の円安に回帰してきた。

一方、7月下旬からは国内企業の第1四半期決算発表がスタートする。気の早い企業は、期初の控えめな決算予想を上方修正することも十分考えられる。第1四半期にサプライズがなくても、10月下旬からの中間決算発表では、上方修正企業が続々と名乗りを上げてくるはずだ。

そこで注目したいのは、輸出各社の想定為替レートである。たとえば、同じ自動車セクターでも、トヨタ自動車は1ドル= 90 円想定。一方、日産自動車やホンダなどは95円を想定している。つまり、上方修正への伸びしろが大きいのは、前者ということが容易にわかるはずだ。金融緩和で為替が1ドル=100円以上の円安を持続すると仮定すれば、想定為替レートを控えめに設定している企業を狙い撃ちすればいいわけだ。



想定為替レートで狙う上方修正待ち伏せ10銘柄

トヨタ自動車(東1・7203)
株価  :6250円
売買単位:100株
PER  :15.7倍
PBR  :1.77倍

想定為替レートは、対ドルで90円、対ユーロで120円。1円の円安で、対ドルなら約400億円の営業利益増になるとも。

日野自動車(東1・7205)
株価  :1579円
売買単位:1000株
PER  :15.1倍
PBR  :3.42倍

トヨタ自動車の傘下。想定為替レートもトヨタ自動車と同様だ。控えめの想定レートでも、今期は増収増益予想。

マツダ(東1・7261)
株価  :430円
売買単位:1000株
PER  :18.4倍
PBR  :2.59倍

中堅の自動車メーカー。想定為替レートは、対ドルで90円、対ユーロで120円。足元の業績も絶好調だ。

スズキ(東1・7269)
株価  :2432円
売買単位:100株
PER  :15.1倍
PBR  :1.18倍

軽自動車や二輪車に強み。想定為替レートは、対ドルで90円、対ユーロで120円。今期は増配の可能性も。

富士重工業(東1・7270)
株価  :2575円
売買単位:1000株
PER  :18.3倍
PBR  :3.38倍

筆頭株主はトヨタ自動車。想定為替レートは、対ドルで90円、対ユーロで120円。今期は5円増配の年間20円を予定。

デンソー(東1・6902)
株価  :4700円
売買単位:100株
PER  :21.4倍
PBR  :1.80倍

自動車部品メーカーで国内トップ。トヨタ自動車系で、想定為替レートは、対ドルで90円、対ユーロで120円。

ローム(東1・6963)
株価  :4105円
売買単位:100株
PER  :34.4倍
PBR  :0.75倍

半導体および電子部品の大手。営業利益は増益へ。想定為替レートは、対ドルで90円、対ユーロで120円。

横河電機(東1・6841)
株価  :1224円
売買単位:100株
PER  :24.3倍
PBR  :1.95倍

工業計器でトップシェア。今期は前期に続き増配を予定。想定為替レートは、対ドルで90円。

安川電機(東1・6506)
株価  :1267円
売買単位:1000株
PER  :24.5倍
PBR  :2.84倍

産業用ロボットで世界的な企業。今期は増配も視野に。想定為替レートは、対ドルで90円、対ユーロで120円。

ソニー(東1・6758)
株価  :2152円
売買単位:100株
PER  :43.5倍
PBR  :0.99倍

想定為替レートは、対ドルで90円、対ユーロで120円。AV機器大手だが、ゲーム、金融事業などの多角化経営も。

※株価などのデータは2013年7月8日現在。PER=株価収益率、PBR=株価純資産倍率。

河合達憲(TATSUNORI KAWAI)
カブドットコム証券 チーフストラテジスト

日本で数少ない証券専攻の修士号を修め、マスター称号を有する。マクロから個別銘柄まで鋭く分析。TV・ラジオにレギュラー多数。毎週火曜のネットセミナーが大人気。大阪国際大学の講師も務めるなど、多方面で活躍。



この記事は「WEBネットマネー2013年9月号」に掲載されたものです。