JJ Brights Consultantオフィスから撮影したシンガポールとマレーシアの国境

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 前回の記事で、シンガポールに隣接するジョホール・バルで不動産仲介業を営む木藤さんの起業に至る経緯について解説しましたが、今回は木藤さんが今後のジョホール・バルの不動産についてどのような見立てを持っているかをご紹介します。

シンガポールの物件価格の7割程度が妥当か

 2010年以降わずか3年でジョホール・バルの不動産は日本円にして約1.5倍に高騰しています。マレーシアリンギット建てで約3割も平米単価が高騰したことに加え、為替レートが2010年の1リンギット=25円から、アベノミクスによって30円以上にまで円安が進んできていることが背景にあります。数年前に投資をしていた人にとっては、先行者リスクを取ったことが報われた形です。

 人気の物件に至っては直近3年で2〜3倍にまで高騰しているモノもあり、ジョホール・バルの不動産市場は過熱気味です。木藤さんによると、これから都市が形成される成長期のジョホール・バルでは日本の都市のように賃貸利回りで割高・割安を判断することは難しく、シンガポールの物件との価格比較が最も参考となる割高・割安指標のようです。

 ジョホール・バルに最も近く、コーズウェイと呼ばれる道路でマレーシアとつながっているシンガポール北部のウッドランズ地区の約3〜5割の価格でジョホール・バルの不動産は推移していますが、木藤さんは長期的にはジョホール・バルの不動産価格がシンガポール北部エリアの7割程度にまでなると考えています。

 香港と中国本土で香港に最も近い深センの物件価格比が現在10(香港)対7(深セン)であることがその理由ですが、それにはシンガポールとジョホール・バルの往来が現在よりも改善される必要があります。現時点では、鉄道で自由に行き来できる香港と深センと異なり、コーズウェイとセカンドリンクという2つの道路を通じてしか国境を越えられません。

 シンガポールとジョホール・バルの往来を改善するプロジェクトとしては、シンガポールのMRTの新線であるトマソン・ラインが、ジョホール・バルまで2018年を目途として延長することが計画されています。数年前までは、経済成長度も治安リスクも全く異なるシンガポールとジョホール・バル間を地下鉄で結ぶことにシンガポール政府側も抵抗感があり、実現性は低いと見られていました。

 しかし、マレーシア政府とシンガポール政府の距離が2010年以降大きく縮まったことに加え、シンガポールがグローバルからヒト・モノ・カネを集める上で最大のライバルである香港の人口が約800万人と、約500万人のシンガポール人口を大きく上回っていることも、シンガポール/ジョホール・バルの一体化にシンガポール政府が真剣に取り組む理由となっているようです。

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