先日、今秋に11年ぶりの来日ツアーを行うことが発表されたポール・マッカートニー。70歳を超えた今でも「Hey Jude」「Let It Be」などのザ・ビートルズ時代の名曲を、当時と同じキーで歌っています。

 ザ・ビートルズ関連の書籍は数多くありますが、先日発売された書籍『ビートルズは音楽を超える』は、少し違った角度から世界一有名なバンドを分析しています。

「ビートルズを語るためには、音楽の知識だけでは不十分で、イギリスの歴史と文化と芸術に対する深い理解が必要である」 

 著書である武藤浩史氏は、慶応義塾大学で教鞭をとっているイギリス文学研究者。イギリス社会における階級問題、文学、お笑い番組といった英国の歴史と文化から、著者ならではのビートルズ論を展開しています。

 ビートルズは、歴史的に階級社会であったイギリスにおいて、労働者階級の出身であることを強調し、若者たちの支持を得ました。ジョン・レノンに至っては、ビートルズ解散後初のアルバム『ジョンの魂』において「ワーキング・クラス・ヒーロー(労働階級の英雄)」なる曲を歌ったぐらいです。

 しかし、武藤氏はビートルズが、実際には労働者階級ではなく、中流階級に属していたと指摘しています。そして、彼らの存在を「ミドルブラウ(中級)」と分類しています。

 なかなか聞きなれない「ミドルブラウ」という言葉は、1920年代にイギリスで生まれた言葉。「新中流階級(中流階級と同じ生活水準となった労働者)」と、新しいメディア文化である「テレビ放送」の勃興とともに生まれました。

 高級(ハイブラウ)と低級(ローブラウ)の間で、両者の文化を都合よく吸収したミドルブラウ。アガサ・クリスティ、チャップリン、ヒッチコックなどは、新しいイギリス文化を体現し、文化輸出の中核を担うようになりました。武藤氏は、ビートルズも同様にミドルブラウの代表格であると位置づけています。

 ビートルズをイギリスの歴史の中でとらえることによって、見えてくるものは何なのでしょうか。ビートルズへの新しい見方をもたらし、その魅力を再発見させてくれる一冊です。



『ビートルズは音楽を超える (平凡社新書)』
 著者:武藤 浩史
 出版社:平凡社
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