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前橋市や高崎市を始め、県内各地の店舗で販売されている群馬名物の焼きまんじゅう。マンガ『孤独のグルメ』を読んで、「あぁ、食べてみたい!」と思った人もいるだろう。元来、軽食として好まれていたが、今日では酒まんじゅうを使用している店舗などもあり、昭和の時代とは変わってきている。

焼きまんじゅうとは、あんのない蒸して作ったまんじゅうを竹串に刺し、砂糖類で甘くした濃厚なみそダレを裏表に塗って炭火などであぶり、焦げ目を付けたもの。その起源は幕末(19世紀中期)と言われ、前橋発祥説が有力とされているが、他にも伊勢崎市、沼田市等の店舗が元祖を名乗っており、それぞれ独立した起源であるとする見方もある。また、酒を家庭でも作っていたころの副産物だとも言われている。

それはともかく、最近の焼きまんじゅうはどんな外見と味に仕上げられているのか。県内各地の焼きまんじゅう店を訪問し、取材してみた。

○沼田市中心市街地に質素な店舗を発見!

最初に訪れたのは、沼田市の中心市街地、下之町にある「東見屋まんじゅう店」。裏通りの四つ角に立地しており、店構えは極めて質素。焼きまんじゅうを意識していなければ、通り過ぎてしまうくらいだ。

文政8年(1825)創業と言われる老舗で、店舗内に入ってみると、やはり質素。テーブルは2脚しかなく、5人座れば満席という感じ。この日は先客が2名いた。早速焼きまんじゅうを注文する。ただし、同店では、「味噌まんじゅう」の名称で販売している。メニューを見ると、「味噌まんじゅう」は一串(4個)180円(税込み)、 「味噌まんじゅう(あん入り)」は一串(3個)330円(税込み)。

前橋市民の筆者にとって、あん入りの焼きまんじゅうは初めての経験である。みそダレとあんは果たして合うのだろうか。そんな疑問を抱きつつ、いよいよ食してみた。

最初はあん入りに挑戦。みそダレはやや辛め。すなわち、砂糖類が少なく、みそが多い感じ。あんはと言うと、通常の酒まんじゅうなどと比べ、甘さは控えめだ。しかし、みそダレとあんは、相対的に塩分と糖分のバランスがとれ、辛過ぎ・甘過ぎ・しつこいなどの違和感は感じられない。

次は伝統的なあんなしへ進む。まず、みそダレはあん入りと同じ。皮は全体的にふかふかしていて、柔らか過ぎず、硬すぎず。焦げ目はほんの一部分で、繊細な焼き方だ。これも特徴のひとつ。初めて食べた沼田の焼きまんじゅうは、上品さをも感じる伝統食であった。初日なので、お土産にあんなし2点をお持ち帰りに。

○国定忠治も焼きまんじゅうを食べたのか? 

2番目に訪れたのは、伊勢崎市上蓮町にある、忠治茶屋が営業する「上州忠治茶屋本舗」だ。会社の説明によると、この店舗の建物は江戸時代後期の侠客・国定忠治が御用になった西野目宇右衛門宅解体の際、忠治茶屋店主が譲り受け、その資材を使い建築したという。

筆者はこの日、あん入り一串(3個)220円(税込み)、あんなし一串(4個)130円(税込み)、おやつ用に酒まんじゅう2個160円(税込み)(1個80円)を注文。まずはあん入りから食べてみた。

みそダレはけっこう甘い。あんも甘いと思われるのだが、みそダレの甘さに押されて判別不能。同じ甘さということか。全体的な印象は、甘さの塊を食べているという感じだ。

次にあんなしに挑戦。生地の厚さは約2cm。中身は柔らかめで表面はパリパリしている。みそダレは共通なので全体の食感は強烈と思いきや、みそダレの結構な甘さにまんじゅうの生地が負けずに、程よい甘辛の食味を醸し出している。

筆者が昭和40年代に食べていた焼きまんじゅうは、焦げ目が目立ってパリパリ感の強さが印象的だったが、平成の焼きまんじゅうは、焼き加減が控えめであり、このお店でも改めて驚かされた。酒まんじゅうは帰りの車の中で賞味。なお、同店では、商品名に「焼き」「焼」の両方を使用している。

○伝説の焼きまんじゅう店に進入

焼きまんじゅう店3軒目は、マンガ『孤独のグルメ』でも紹介されて一躍有名になった、高崎市田町にある「オリタ焼まんじゅう店」だ。群馬の焼きまんじゅう店がマンガに登場するとは、群馬出身の筆者としてはビックリ。

このオリタは、女性の経営者がひとりで切り盛りしている。業歴は約65年というから、昭和25年(1950)以前の創業となる。

以前は父親とともに3軒東側で店を構え、最盛期は焼きまんじゅうに加え、焼きそば、おでんなども販売していたが、10年ほど前に現店舗に移転し、現在は焼きまんじゅうと飲み物のみの販売。ちなみに、オリタでは「焼きまんじゅう」ではなく「焼まんじゅう」と表記している。

そんなオリタの焼きまんじゅうはどんな味わいかというと、まず、みそダレの量がやたら多い。前回の上州忠治茶屋本舗も多いと思ったが、オリタはもっと多い。サービス満点だ!

そしていよいよ試食。まずはあん入り170円(2個・税込み)から。生地の表面はパリパリだが、中はしっとり。あんは標準的な甘さで、みそダレはと言うとやや甘め。しかし、全体的には『孤独のグルメ』作中で主人公が表現したような強烈なインパクトは筆者には感じられなかった。

その理由として、筆者のような群馬県民は、いろいろな料理でみそダレやあんに遭遇しており、甘さや辛さがどんな程度でも、過去に一度は味わっているからかもしれない。あんは甘すぎない普通の甘さだが、全体としてはやはりあんも入っているため、甘さが際立った一品と言えるだろう。

次にあんなし160円(4個・税込み)へ。同様に表面はパリパリしているが、中はしっとり。焦げ目はほんの少しであり、全体の味覚としてはちょうど良い甘さのおやつという感じで、子供からお年寄りまで、安心して食べられると思われる。

また、オリタの焼きまんじゅうには串が刺さっていないのが特徴だ。オリタでは、焼くときは串を刺しているが、客に提供するときは串を抜いているのである。

●information

オリタ焼まんじゅう店

群馬県高崎市田町108

○最後は前橋市の元祖焼きまんじゅう店へ

県内には多くの焼きまんじゅう店があるが、筆者が今回の取材で最後に訪れたのは、恐らく群馬で最も有名な焼きまんじゅう店であろう。前橋市平和町にある「原嶋屋総本家」がそれだ。安政3年〜安政4年(1857)の創業と伝えられ、前出の東見屋まんじゅう店同様、老舗中の老舗だ。

原嶋屋総本家の焼きまんじゅうは、あんなし(一串4個・180円税込み)のみ。伝統にこだわり、あん入りはないということか。実際筆者自身、昭和の時代までは、あん入りは見かけた覚えがない。

生地にみそダレを染み込ませ、弱火でじっくり焼いて焦げ目もある。標準的な甘さだが、みその香ばしさが映え、上品な印象を覚える一品だ。あんが入っていないのでしつこさは少なく、2串くらいは軽く食べられるという感じだ。ここはやはり元祖の強みか。

●information

原嶋屋総本家

群馬県前橋市平和町2丁目5-20

今回、群馬名物の焼きまんじゅうについて4店舗を紹介したが、くどいようだが数えきれないほど店舗はある。中には、「これは驚き!」という商品も必ずあるため、群馬に立ち寄りの際や、我らがご当地の味を是非ともみなさんにも味わってもらいたい。

(OFFICE-SANGA)