『昭和の戦争と独立 二十一世紀の視点で振り返る』

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最近、日本がアメリカと戦争したことを知らない大学生がいると聞いたが、本当だろうか。もしそうなら、今年で68回目を迎える8月の「6日」と「9日」と「15日」が、それぞれ、「広島原爆の日」「長崎原爆の日」「終戦の日」であることを知らなかったり忘れたりする人がいても不思議ではない。紹介する3冊は、戦争と平和について改めて考えてみたいという、とりわけ若い人にすすめたい案内の書である。

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「想定外」と「楽観主義」が失敗の原因

『昭和の戦争と独立 二十一世紀の視点で振り返る』

昭和の戦争といっても、先の大戦だけではない。山川出版社の『昭和の戦争と独立 二十一世紀の視点で振り返る』(著・保阪正康、1680円)の第一部は「原発事故と太平洋戦争」で始まり、両者の失敗に共通するものとして、「非常時に弱い組織」や「恐るべき楽観主義」「想定外」などを上げ、真珠湾攻撃、ミッドウェー海戦、沖縄戦へとそれぞれの作戦と戦闘を検証していく。第二部では、戦後の講和と今に続く領土問題や日米安保、米軍基地問題までたどり、日本のあるべき姿を探る。

昭和史研究の第一人者による歴史講義をわかりやすくまとめた昭和の入門書である。子どものころ、父親をはじめとする戦争に反対しなかった大人たちが許せないと不満を持ったことが原点にあるようだ。

記者が見つめた敗戦と再生への希望

『敗戦以後』

「広島は全滅らしい」と聞いた原爆投下、愕然たる思いで受け止めたソ連参戦。そして玉音放送、進駐軍、再生への希望――。リーダーズノート新書の『敗戦以後』(著・藤田信勝、840円)は敗戦直後の混乱と葛藤の中で、日々紙面作りに携わった毎日新聞記者の日記をまとめたものだ。著者は後に朝刊1面コラム「余録」を執筆し戦後の毎日新聞を代表する記者となるが、当時は大阪社会部のデスクだった。1945年(昭和20年)8月10日から1947年(同22年)2月3日までを収めた。

終戦か、敗戦か。今でも議論になるが、本書は、敗戦と記す。終戦という言葉にはごまかしがあると思うからだ。1947年に刊行され、絶版になっていたのをふと手にした孫の今の時代にこそ読まれるべきとの思いから2003年に復刊、その後に新書化された。

極限の中で抑えきれない美への渇望

『花や咲く咲く』

戦時中は暗黒のイメージで語られることが多いが、青春の哀歓はいつの時代にもあるものだ。実業之日本社からの小説『花や咲く咲く』(著・あさのあつこ、1575円)は、戦時色濃い昭和18年(1943年)、ある温泉街の一室に集まった4人の女学生の物語である。映画やテレビドラマでも評判になった『バッテリー』の作者による新しい戦争文学だ。

「うちらは、非国民やろか」。戦争というあらがうことのできない制約の中で、美しさへの渇望を抑えきれない少女たち。男たちが戦争に駆り立てられていくなか、闇物資の生地でブラウスを縫い始めるが、学徒勤労令が発令され、それぞれの運命をたどることになる。著者が母親から聞いた体験談がきっかけになり、現代にも通じる少女たちの喜びと悩みが描かれる。