シャドーバンキング(影の銀行)問題から、これまで好調だった中国でバブル崩壊が起こるのではないかと恐れられている。なかでも不動産バブル崩壊への懸念が強い。不動産バブルはどのようにして起こり、終焉を迎えるのか、そのメカニズムについて大前研一氏が解説する。

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 いつの時代も、どこの国でも、不動産バブルは起きるべくして起き、はじけるべくしてはじける。バブルが起きる原因は二つある。

 一つは「これからもっと値上がりするから、いま買わないと損だ」という心理である。中国ではその心理状態が7〜8年前から続いており、今や上海や北京のマンションは2〜8億円が当たり前になっている。

 もう一つは、銀行が貸し出す時には気前よく貸すのに、“総量規制”や“窓口規制”などの政策が入り込むと、急に蛇口を絞ってしまうという態度に出るからだ。

 不動産の価格は本来、その物件を賃貸に出した時に借りてもらえる価格、すなわち「収益還元価格」で決まる。バブルが起きると不動産の実勢価格は収益還元価格よりも高くなっていくわけだが、実勢価格が収益還元価格から乖離すればするほどバブル崩壊の危険性が高まり、崩壊した時のクラッシュも大きくなる。

 不動産バブルは、必ずはじけて収益還元価格に戻る。それは歴史が何度も証明している。

 にもかかわらず、バブルの熱狂のさなかにある人たちは“記憶喪失”になり、「今回は違う」「これは例外」と思い込んでしまうのだ。しかし、ある朝目が覚めてみたらはじけていた、となるのである。そこにメカニズムは必要ない。人々がバブルであることに気がつけば、そうなるのだ。

※週刊ポスト2013年8月16・23日号