■アベノミクスの次のターゲットは?

「金融緩和」と「財政出動」という2本の矢がすでに事実上放たれ、今後はアベノミクスの3本目の矢である「成長戦略」がいよいよ動き出すことでしょう。金融緩和によって、不動産業界や金融業界の株価が大きく値を上げたように、成長戦略のターゲットとなる企業が狙い目だと思います。

 第1のキーワードは「ソーシャルグッド」。米国では国が行なう社会事業に民間が積極的に参加する取り組みが進んでいますが、日本でも震災による影響で企業の社会貢献意識が高まっています。

 例えば、「少子化(待機児童)」や「高齢化(介護)」といった長期的な社会問題の解決に貢献できる企業は、成長戦略の中心に据えられることでしょう。

 この分野ではすでに介護の規制緩和が進んでいるため、今後は待機児童問題に規制緩和の矛先が向く可能性が高い。その点に関して言えば、保育園や学童クラブ運営で最大手のJPホールディングスはまさに追い風。業績も最近7年間で施設数を約4倍にまで増やしており、6期連続で最高益を更新しています。

 ちなみに規制緩和という観点では「ビッグデータ(巨大なデータの集まり)」という言葉もキーワードになるでしょう。製造業が頭打ちとなった日本では、知能労働の重要性が増しています。その際、政府や民間が抱える大規模なデータを解析し、事業に生かす企業は有力。具体的には、近くビッグデータ事業に参入し、コンビニチェーンの支援にも乗り出す凸版印刷の動向を注目しています。

■国内5位でも米国3位を買収

 農業関連も社会貢献の意味合いが大きい。世界的に見ても、工業品を中心としたデフレが続く一方で、穀物をはじめ商品価格は新興国の需要増でインフレ傾向が続くと見られます。そこで目を向けたいのが丸紅。同社は総合商社5位でありながら、米国の穀物3位の企業を買収し、今や世界の穀物メジャーの一角を占めています。今後は安定成長銘柄として世界中から注目を浴びるでしょう。

 このほか、ある意味、社会貢献と言えるのは主婦目線の品揃えが売りの食品スーパー・ヤオコー。23期連続増益中という利益率は、消費税の増税後も手堅い業績が期待できると思います。最後にメインテーマからは外れますが、アベノミクス効果による高額消費の盛り上がりからシンワアートオークションの先行きにも注目したい。

崔 真淑氏

経済アナリスト 崔 真淑氏

1983年生まれ。大和証券SMBC金融証券研究所(現・大和証券)株式アナリストなどを経て独立。経済学を軸にした市場分析が得意。

【崔さんの推奨銘柄】

銘柄/コード株価最低購入価格概況
シンワアートオークション
(JQ・2437)
7万6800円7万6800円高額な美術品や工芸品、宝飾品などのオークションで過半のシェアを握る最大手。昨年12月以降、取扱高、売上高ともに驚異的な伸び。
JPホールディングス
(東1・2749)
2651円26万5100円保育園や学童クラブを運営する最大手。6期連続で最高益を更新し、安倍政権の成長戦略の目玉のひとつである「待機児童問題」で貢献。
凸版印刷
(東1・7911)
730円73万円印刷業界の2強で、印刷技術を基盤に事業を拡大。今夏にもビッグデータ事業に参入し、コンビニチェーンの支援などを行なう予定。
丸紅
(東1・8002)
697円69万7000円総合商社5位だが、米穀物取引業界3位のガビロンを買収し、世界的な穀物メジャーの一角を占める。食糧不足を背景に事業は安定。
ヤオコー
(東1・8279)
4185円41万8500円埼玉県中心の食品スーパー。地元の主婦をパート社員に積極的に採用し、価格決定や商品の発注まで任せる手法で23期連続増益中。

※「東1」は東証1部、「大1」は大証1部、「マ」は東証マザーズ、「JQ」はジャスダック市場の略。取引に際しては最新の情報を十分にチェックしたうえで、自己責任で行なってください。
※株価などのデータは4月26日時点。