夏休み期間中ということもあり、会場は多くの若者でごった返していた【撮影/大橋史彦】

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2006年に中国移住。蘇州、北京、広州、そして08年からは上海に在住。情報誌の編集長を務める大橋さん。今回は、7月に上海で開催された「アニメ・ゲーム博」レポート。政治的な軋轢の中で、日本の漫画・アニメが果たす役割と可能性を考えます。

上海で「アニメ・ゲーム博」が開催

 日本のコンテンツで忘れてならないのは、漫画・アニメだ。いまや世界中に多くのファンが存在するが、中国も例外ではない。

 毎年恒例の「アニメ・ゲーム博」(第9回中国国際動漫遊戯博覧会、CCG Expo)が7月に上海で開催された。期間中は厳しい猛暑だったが、学校が夏休み期間に入っていたこともあり、会場は多くの若者であふれていた。会場が狭かったせいもあるが、歩くのが困難なほどの人の密度だった。

 漫画・アニメ関連で存在感が際立っていたのは、なんといっても日本のものだった。入口をくぐると、まず視界に飛び込んできたのはバンダイのブース。「GUNPLA EXPO SHANGHAI 2013」と銘打ち、プラモデルなどが展示されていた。日本では、「ガンダムビジネス」というひとつのカテゴリーが確立するほどのドル箱コンテンツだが、中国での人気も根強い。

両国の差が縮まりつつあるアニメ産業の市場規模

 会場には、コスプレ姿の人も多かった。そのほとんどは、日本のアニメや漫画をモチーフとしたもの。コスチュームは、ECサイトで簡単に購入することができる。

 カメラを向けると、誰もが気軽に写真撮影に応じるのが日本との違いだろうか。撮られたところで、その写真をほしがりもしない。まるで、アイドルや有名人のように笑顔で撮影に応じるだけ。


 意外と多かったのは、ひとりで来ている若者だ。ひとりっ子世代なので、つるむのが苦手なのかもしれない。こちらが話しかけても、中国人には珍しく、ぼそぼそとしゃべる子もいる。中国の携帯電話用チャットアプリ「微信」を通じて、その場で仲間を探すというひともいた。

 しかし、彼らのすべてが日本のアニメや漫画ばかりを見ているかというと必ずしもそうではない。『銀魂』の主人公・坂田銀時のコスプレをしていた大学生の王さんは、2年ほど前から日本の漫画を読むようになったものの、「最近レベルが上がってきている」(王さん)中国の漫画のほうを好んでよく読むという。

 近年、中国政府はアニメ産業の育成に力を入れている。文化省の発表によると、アニメ産業の2012年の市場規模は、前年比22.2%増の759億9400万元(約1兆2000億万円)に達したという。経済成長が鈍化しているなか、驚異的な成長率である。

 一方日本は、公表されている2011年の数字をみてみると、物販や海外輸出も含めた広義のアニメ産業市場は1兆3393億円(出典:日本動画協会〔AJA〕)。前年比わずか0.8%増なので、その差はどんどん縮まっているといっていいだろう。

 政府が干渉することでいい作品が生まれるとは限らないが、国産アニメや漫画が消費者に徐々に受け入れられているのは事実である。

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