「ゆとり世代」と聞いて、どのような若者を想像しますか?

 上の世代から聞こえてくる声は、「おとなしい」「真面目」「何を考えているかわからない」といったもの。自分たちの世代とは違う様子に、中高年は困惑しています。

 現在、明治大学で教育学、身体論、コミュニケーション論を教える斎藤孝氏は、彼らに対してステレオタイプ的な見方をしていたことを明かしています。しかし、それ以上に誤解していた部分があると、書籍『若者の取扱説明書』で語っています。

 教育者として、20年以上にわたって若者と向き合ってきた斎藤氏。一日に数十人から数百人の若者に会うこともあると言います。そんな斎藤氏は、宿題・課題はかならず提出する「ゆとり世代」は、決して「さぼり世代」ではないと断言します。

 問題に感じているのは「どんどん学ばせてください」「これは自分にやらせてほしい」などと、食ってかかってくることがないところ。斎藤氏が、授業中に発表者を募っても、挙手する学生はいません。しかし、「じゃあ、君はどう思う?」と指名すると、立派な意見をいうこともあるとのこと。つまり、彼らは何も考えていないわけではないのです。

「現実的には、昔は積極的でいい加減な学生が多かったのに対し、今は消極的で真面目な者が多い。対極的な姿に移行したわけだ。これを進化ととるか退化と見るかは微妙だが、おかげで世間からはエネルギー不足とみられてしまう」(斎藤氏)

 今の若者の気質は決して弱点ではないという斎藤氏は、彼らの「消極的」「真面目」という気質を利用した指導方法を導入したと言います。

 ポイントは、大きく分けて三つあります。一つめは、躊躇せずにハードトレーニングを課すこと。二つ目は、全員一律に同じミッションを与えること。そして三つ目は、惜しみなく褒め称えること。この方法を採用することで、学生たちは「一週間で新書を五冊読む」といったハードな課題をしっかりこなし、驚くほど成長したとのことです。

 斎藤氏は、この指導方法を採用することで、「ゆとり世代」に希望を見出したと言います。頭ごなしに否定される事が多い「ゆとり世代」。彼らとの付き合い方に悩む教員や職場の上司にとって、必携の書と言えそうです。



『若者の取扱説明書 (PHP新書)』
 著者:齊藤孝
 出版社:PHP研究所
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