牛牛福2号店(オープン当日)【撮影/金伸行】

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お金儲けの神様「邱永漢」人生最後の弟子で、2005年より中国四川省成都に在住。日本生まれの韓国人で、現在はグループ会社3社の社長兼取締役を勤める金さんと、焼肉店「牛牛福」との9年間にわたる格闘の日々の記録。第8回は、これまでの問題点の解決に乗り出した矢先、資金繰りが悪化。はたして首はつながるのか!?

第1回「邱永漢氏に出会い、現職を投げ打って成都行きを決めるまで」はこちら

第2回「ホテル事業を夢見て成都に渡った3日後に告げられた事実とは」はこちら

第3回「焼肉店改行準備で体験した、パソコン購入のための中国式交渉術」はこちら

第4回「開店に向けての市場分析と、人事・料理長・店長の人事問題」はこちら

第5回「事業立ち上げで直面したワイロ大国の実態」はこちら

第6回「感動の1号店オープン! 大盛況の3日後から突然……」はこちら

第7回「中国人にとって、価格の割引は面子の問題!?」はこちら


ようやくのことでスタートした牛牛福1号店ですが、開店直後は大盛況だったのに、たちまちのうちに閑古鳥が鳴くようになり、苦境の陥った話は前回しました。

 ここでもういちど、問題点を整理しておきましょう−−。これまでの失敗の大きな原因は、

1) 中国人の嗜好に合わせた魅力ある商品がない(ように見える)
2) 価格設定に「得しちゃった!」というお得感がない

ということでした。

 これらの原因を解決してやれば、お客さんは喜んで店に来てくれるというのは、誰が考えても当たり前の理屈です。

「指示の変更じゃないよ、進化だよ!」

 まず、商品の魅力については2つの解決策を準備しました。

1) “中国人から見て” 魅力的な新商品の開発
2) 焼肉を食べたことがない人でも簡単に理解し、選択できるメニューづくり

 最大のキーワードは “中国人から見て” という部分にあります。

 繰り返すと、私の失敗の原因は日本的な感覚で良いものを押し付けたことでした。だから今度こそは中国人、もっと言えば四川の成都人に喜ばれるものを提供するのです。

 これまで「俺がうまいと思わないものは出さん!」と言い切ってきましたから、正直、迷いもありました。良質な牛肉の判断ができない、経験の浅い従業員にいろいろな判断をさせることにリスクがあったのです。

 しかしこれからは、その従業員に「なあ君、うまいと思うかこれ?」と意見を聞きながら決断を下していかなくてはなりません。慣れるまではこの見切りがうまくいきませんでした。

 メニューについても、「写真はいらん、とにかくシンプルに」という指示を改めました。

「全商品に写真をつけよ。食べたことがないものでも、メニューを見るだけで選べるようにせよ。必要なものには説明をつけ、とにかく選びやすさと商品の魅力をアピールせよ」

 ちなみに、このときに従業員は笑っていたはずです。それまでまったく正反対のことを言っていたのですから。しかし私はこういう時に、大きな声で「言っておくけど、これは指示の変更ではないからね。進化だよ進化!」と強調することを忘れませんでした(笑)。

 お得感の演出については、馬鹿正直に50円のものを50円で売るのでなく、ものによって原価率の設定を変更し、サービス品を出したり、思い切った割引をしても適正な利益を残せるように調整しました。成都の人がいちばん喜ぶ「割引」を前提に価格を練り直した、という表現の方が正しいかもしれません。

 3回店に来てくれたお客さまにはいつでも8.8掛(12%割引)になるVIPカードを提供し、かなりの数をばらまきました。

 ところで、なぜ3回なのかわかりますか? ヒントは「デートは最低3回せよ」です。

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