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今回から始まる連載コラム『美人すぎる公認会計士がこっそり教える、やわらかマネー知識』では、公認会計士の平林亮子氏が、その豊富な経験を生かした「お金」に関する知識を、分かりやすく説明します。あなたの人生を変えるような、とっておきのマネー知識が得られるかもしれません。

「そのお金、銀行に預けたら10年で倍になるよ」

祖母からもらったお年玉を眺めていた私に、父はそう言いました。

この時、私は小学校の1年生か2年生。

1万円という大金を手にした小学校低学年の娘に、父はこう続けます。

「賭けてもいいよ。もし、倍にならなかったら、足りない分はお父さんが差額をあげるから」

10年ほど前に書籍にも書いた話ですがこれは「実話」です。

当時(今から30年ほど前)、銀行にお金を預けると利息がつく、ということはなんとなくわかっていましたが、まさか倍になるほど増えるなんて思うはずもありません。

私は半信半疑でしたが、とりあえず、父の賭けに乗ってみることにしました。

現在のゆうちょ銀行である郵便局の定額貯金に預け入れたのです。

そして毎年、お正月が来るたび、定額貯金の証書を眺めては、父とカウントダウンをしました。

……10年の月日が流れ、私は高校生になっていました。

いよいよ、賭けの勝敗が決まる日が。

父と一緒に郵便局に行くと、2万円に少し足りない金額を手にすることができました。父から差額をもらったような気もしますが、それはもうどうでも良いことでした。 大切なのは、ほぼ倍になったという事実。

父が言いたかったのは、それが「利息」と「複利」によって生み出されたものだということなのですから。

○「複利」の仕組みってどんなもの?

利息と複利の関係を整理してみましょう。

たとえば、年利10%の定額貯金に1万円を預けたらどうなるでしょうか。

まず、1年後には10,000円の10%である1,000円の利息がついて11,000円になります。

2年後には、11,000円の10%である1,100円の利息がついて12,100円になります。

3年後には、12,100円の10%である1,210円の利息がついて13,310円になります。

このように利息にも利息が生まれる仕組みを複利といい、計算すると、10年後には25,937円になります。

ゆうちょ銀行の定額貯金の現在の利率は、年0.035%から0.04%ですが、冒頭の賭けをした約30年前は、7〜8%ありました。今では信じられないほどの高利率だったのです。

ちなみに、

72÷年利=倍になるまでの年数

と計算することができ、「72の法則」と言われています。

つまり、年利7.2%で複利で運用した場合、10年で倍になるというわけです。

私の父は銀行員でしたから、最初から答えを分かっていたのです。

そう考えると、これは賭けでもなんでもなかったわけですが、利息や複利を実際に経験することで、単なる数字計算にとどまらない実感を持つことができました。

○毎日1%でも努力したら、1年で約38倍の成果!?

そうそう、10年間預けた結果2倍まであと一歩届かなかったのは、利率が7.2%よりも低かったこと以外にもう1つ理由があります。

それは税金です。

預貯金の利息には所得税が課せられます。

利息の20%は税金として源泉徴収されるのです。15%が所得税、5%が地方税です。そのため、たとえ年利7.2%の時に10年間預け入れても、自分の手元に入るお金は倍にはなりません。

郵便局で渡された計算書を見ながら、父は私に税金についても説明をしてくれました。

ところで、複利といえば、「1.01の法則」「0.99の法則」なるものの存在をご存知でしょうか。楽天株式会社の三木谷社長のお言葉のようです。

毎日1%でも努力したら1年(365日)で1.01の365乗の約38倍もの効果につながるかもしれない。

一方で、毎日1%手を抜くと1年(365日)で0.99の365乗で0.03になってしまうかもしれない。

これが、「1.01の法則」、「0.99の法則」です。

毎日毎日、努力が複利計算のように積み重なるとは限りませんから、少々強引な法則であるように思います。でも、少しの努力の積み重ねが大きな力となり、少しの手抜きの連続が大きな問題となるのだということは、うなずけるのではないでしょうか。

お金も人生もコツコツが大きなモノを言う。

私は、複利の力の偉大さを、父との賭けによって学んだのでした。

○執筆者プロフィール : 平林 亮子

公認会計士。「美人すぎる公認会計士」としてTVやラジオ、雑誌など数多くのメディアに出演中。お茶の水女子大学在学中に公認会計士二次試験に合格。卒業後、太田昭和監査法人(現・新日本有限責任監査法人)に入所。国内企業の監査に多数携わる。2000年、公認会計士三次試験合格後、独立。企業の経営コンサルタントを行う傍ら、講演やセミナー講師など多方面で活躍。テレビの情報番組のコメンテーターを始め、ラジオ、新聞、雑誌など幅広いメディアに出演している。

(平林亮子)