写真提供:マイナビニュース

写真拡大

鉄道の旅のお楽しみといえば駅弁だ。いろいろなおかずが入った幕の内弁当や、地元の特産物をふんだんに使った名物駅弁などがあり、駅弁選びに迷ってしまうほど。デパートなどで開催される駅弁大会も、人気のあるイベントのひとつだ。

ところで、駅弁には、「四角い駅弁マーク」が掛紙などにあるものとないものがある。勘亭流で描かれた「駅弁」の文字に、日の丸の赤をあしらっている。あのマークにはどんな意味があるのだろう? 特定の駅弁業者だけではなく、さまざまな業者が使っているし、全国の駅弁の売店で見かける。おいしい駅弁の保証か、あるいはブランド戦略か……。

○「日本鉄道構内営業中央会」が作ったマーク

四角い「駅弁マーク」は、社団法人日本鉄道構内営業中央会が1988年に制定したもので、商品の安心・信頼をPRする目的があるという。日本鉄道構内営業中央会とは、JR旅客会社の駅構内で営業する業者によって作られた会員組織で、JR各駅で駅弁を売る業者のほとんどが加盟しており、会員数は130社(2010年現在)もあるそう。「駅弁マーク」は、会員業者の駅弁だけに許可されたマークとなっている。

デザインの意味は、外枠が経木の弁当容器、その中に十字の仕切りを入れて、弁当らしさと「和」の象徴としている。赤い丸は、「日の丸弁当」と「人々の交流の暖かさ」を表現しているそうだ。「駅弁」の文字が勘亭流となっている意味は、幕の内弁当の由来が歌舞伎であることから。ローマ字の「EKIBEN」は、日本の食文化として駅弁を国際的に広めたいとの願いが込められている。

日本鉄道構内営業中央会によると、マークを付ける条件は、「同会の会員であること」それだけ。マークに対するライセンス料の支払いもない。「地産地消」とか、「冷めてもおいしい」とか、駅弁ならではの特徴はいくつも挙げられるけれど、とくにメニューや量などの基準はないそうだ。ただし、同会では、「構内営業の進歩改善」をはじめ、「食品製造技術並びに衛生の向上及び品質の改善に関する研究」「構内営業従業員のサービス並びに食品衛生の向上に関する講演会や講習会の開催」「食品品評会の開催」などを実施しているというから、これらが駅弁の品質の目安になるかもしれない。

○駅弁マークがない弁当もある!?

ところで、駅弁の売場を見ていると、「駅弁マーク」がある駅弁とない駅弁がある。「駅弁マーク」がない場合、日本鉄道構内営業中央会の会員ではない……と思ったら、同会の会員業者でも駅弁マークが付いていない場合があるようだ。

「駅弁マーク」を付ける駅弁、付けない駅弁の基準について、千葉駅などで駅弁を販売する「万葉軒」に聞いてみた。

万葉軒では、駅弁の他にも仕出し弁当などを販売しているため、駅以外の場所でも販売する弁当に関して、「駅弁マーク」を付けない場合があるという。自社工場から出荷したのに、「駅から持ってきた」と誤解を招くかもしれないから、というのも理由のようだ。駅弁の箱や包み紙のデザインの都合で、「駅弁マーク」が合わないと判断した場合も使わないという。必ずしも、「マークを付けなければ駅で売れない」という規制はないらしい。

ちなみに、もし駅弁業界に参入して、このマークを付けた駅弁を売りたいと思ったら、まずはJRの販売許可を得る必要がある。その後、同会の入会審査を受け、会員になれるという。これで晴れて「駅弁マーク」の弁当を販売できる。ただし、JRの駅構内などで食品を販売するための基準は、かなり厳しいそうだ。

○「空弁マーク」は2種類ある

最近はデパートの駅弁大会に行くと、「空弁コーナー」もある。空港で売る弁当を、駅弁にならって「空弁」と呼ぶそうだ。地域の名産を使うからお土産にもなるし、航空運賃の低価格化で機内食サービスが減ったこともあり、機内に「空弁」を持ち込む搭乗客も多いとか。この「空弁」にもマークがある。しかも2種類。赤色のマークと空色のマークだ。赤色のマークは日本航空グループのおみやげ店「BLUE SKY」で販売するお弁当に付いている。

空色のマークはジャパンフーズシステムという会社が考案した。ジャパンフーズシステムはデパートなどの名産品店や駅弁大会などのイベントをプロデュースする会社だ。同社の取引先が扱う弁当を、空港や「空弁」イベントなどで販売するときに、「空弁マーク」を提供しているとのこと。マークを付ける弁当の内容に基準はない。ただし、空港内で商品を販売するためには、空港独自の選定基準や品質基準が存在する。その上で魅力ある「空弁」が作られている。最近は空港以外の場所でも、「空弁イベント」がにぎわっているという。

(杉山淳一)