2013年8月1日から8月31日までの1ヶ月間、株式会社HAKUHODO DESIGN社長の永井一史さんが中心となって起ち上げたソーシャルデザイン専門組織・hakuhodo i+dと日本ユニセフ協会が、全国のレストランやカフェの協力を得て「TAP PROJECT JAPAN 〜きれいな水を世界の子どもに〜」を開催しています。

 日本の水の日である8月1日から7日の1週間は代官山T-SITE GARDEN GALLERYにて、全国の水道水ボトルウォーターを集めた「TAP WATER BAR」もオープンしており、ここでは協力店を代表して洋菓子店Toshi Yoroizukaのシェフ鎧塚俊彦さんプロデュースの限定デザートも味わえるようです。代金は全て無料で、代わりに一人ひとりの気持ちとして寄付を募っています。

 2007年に北米で始まり、そして2009年には日本でも「TAP PROJECT JAPAN」として活動がスタート。今年で5年目を迎える同プロジェクトは、汚れた水と不衛生な環境が原因で毎日2000人を超える子どもの命が奪われている現状について、日本のように、清潔な水を毎日使える国に暮らす人々が理解し、改善に向け支援していく取組みとのこと。日本の多くのレストランやカフェでは無料で水やお茶が提供されますが、同プロジェクトではこれにチップ感覚で任意の募金を呼びかけ協力を集めます。寄せられた募金は、アフリカ・マダガスカルの子どもたちの水と衛生環境を改善するユニセフの活動に役立てられるとのことです。

 地域、日本、世界が抱える社会課題に対し、デザインの持つ共感の力で道を切り拓いていくことを目的とされ2012年4月に設立されたhakuhodo i+d。「TAP PROJECT JAPAN」の公式サイトも水をモチーフにしたデザインで統一されており、個人のブログに簡単に貼り付けることができるデザインパーツや作曲アプリの配布、レストラン・カフェシーンにおける協力を求めるという総合デザインによって視覚的共感の呼びかけに努めています。また、永井一史さんは著書『エネルギー問題に効くデザイン』のなかで、デザインが持つ可能性について次のように語ります。

「課題にまず気がつくこと、そしてその課題をやり過ごすのではなく、解決に向けてビジョンを持ってアイデアを構想すること。そしてそのアイデアを社会に向けて具体的なかたちにし、解決に導く行動や流れを起こしていくこと。単なる経済性や合理性だけでなく、人の心や感性にしっかりと向き合いながら、"問題の本質を捉え、構想し、その解決を促していく"デザインという方法論は、来たるべき新しい社会への移行においても、大きな役割を担えるに違いないと信じている」

 社会のなかにある大きな課題に大勢の人々が取り組むには、きっかけや共通認識が必要です。同書を読むことで、デザインというひとつの軸が、コミュニケーションツールとして多くの人々のなかに存在しているということを感じることができるかもしれません。


【関連リンク】
TAP PROJECT JAPAN
http://www.tapproject.jp/index.html



『エネルギー問題に効くデザイン: ワークショップから生まれた、日本を元気にするアイデア』
 著者:永井一史 + 30人の若手デザイナーたち
 出版社:誠文堂新光社
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