中国の「シャドーバンキング」は、第2のサブプライム・ショックに発展 !?
「シャドーバンキング(影の銀行)」問題で6月に大暴落した中国株。実は金融崩壊リスクだけでなく、新政権による政策変更リスクなど、さまざまな問題が市況悪化を招いているようだ。カブドットコム証券の河合達憲さんに聞いた。


相反する景気対策、新政権の政策転換も相場の悪材料に

「今回の「シャドーバンキング」問題は、金融機関が間接的に不動産開発業者に多額の資金を貸し付け、焦げつきの懸念が高まったという点で1990年代初めの日本のバブル崩壊、2008年の米国のサブプライム・ショックと基本的に同じ性質のものです」と語るのは、カブドットコム証券の河合達憲さん。

「違うのは、日本では本来、担保融資ができないノンバンクや生保までもが資金を貸し付けたのに対し、中国では中国人民銀行の厳格な管理下にある国有銀行だけが貸し付けていること。その意味では日本のバブルに比べてまだタチはいいと思います」

ただし問題は、国有銀行の状況は把握できても、シャドーバンキングの融資がどれだけ焦げついているのかを把握するのが困難であること。「状況がわからなければ、当局は救済措置をとれません。手をこまねいているうちに、事態が悪化する危険もあります」

しかも、中国が現在抱えているのは、不良債権の拡大による金融崩壊リスクだけではない。河合さんは、「昨年発足した中国の新指導部の政策にも大きなリスクがあります。ひとつは、バブル封じのために地価抑制策をとる一方で、景気を刺激するためにインフラ開発を促進させるという相反する景気対策を行なっていること。もうひとつは、前指導部までの外需依存型から内需拡大型の経済政策に大きく舵を切ったこと。政策の急変によって格差問題などのゆがみがますます深刻化し、中国経済や中国株相場に悪影響を及ぼしているのです」。


シャドーバンキング問題、相反する景気対策、内需拡大策への転換がもたらした副作用。いわば?三重苦〞とも呼ぶべき状況だが、「3つのすべてが改善に向かわない限り、中国株相場の本格的な回復は見込めないでしょう」と河合さんは悲観的な見方を示す。

中国当局による株式相場への介入水準が読めなくなったことも大暴落を招いた原因だという。

「以前は、上海総合指数の2000ポイント割れあたりで買い支えを行なっていました。しかし新指導部は、昨年12月に2000ポイントを割り込んだときも株価を放置しており、新たな買い支えのポイントがはっきりとしません。ただ、いずれ上海総合指数が2000ポイントを超え、200日移動平均線も上回るような状況になれば、やや買い安心感が出てくるのではないでしょうか」。

チャイナリスクは3つのポイントに警戒

?シャドーバンキングの問題
シャドーバンキングがどれだけ融資の焦げつきを抱えているのか、一部のシャドーバンキングなのか、それとも全体なのかが把握できず、金融当局も救済措置をとりにくい。

?相反する景気対策で舵取りが困難
バブル封じのために地価抑制策をとりながら、一方で景気テコ入れのためインフラ開発を促進させるという矛盾した政策を同時に進めており、難しい舵取りを迫られている。

?内需拡大策への政策変更で混乱も
中国の新指導部は、それまでの外需依存型から内需拡大型の経済政策に大転換を図ったが、輸出企業に出稼ぎに行く農民の仕事が奪われ、貧富の格差がますます深刻に。

河合達憲(TATSUNORI KAWAI)
カブドットコム証券 チーフストラテジスト

調査情報畑一筋で25年来の実力者。相場分析力と銘柄選別眼に定評がある。TV・ラジオにレギュラー多数。毎週火曜のネットセミナーが大人気。マネー雑誌への寄稿も多く、近著に『9割の人が株で勝てない本当の理由』。大阪国際大学の講師も務める。



この記事は「WEBネットマネー2013年9月号」に掲載されたものです。