ヘルシンキ便はボーイング787型機で運航されている(写真はヘルシンキ便の初便)

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最新鋭中型旅客機のボーイング787型機の運航再開から2か月。同型機は従来機よりも燃費が2割向上していることから、大型機並みの長距離を飛ぶことができ、航空業界の路線戦略のあり方を大きく変える「ゲームチェンジャー」として知られてきた。その大きな動きのひとつが、日本航空(JAL)が2013年7月1日から運航を始めた成田-ヘルシンキ(フィンランド)路線だ。

ヘルシンキは、おおざっぱに言えば「ロシアのすぐ隣」。欧州の中でも日本に近い都市として知られており、欧州各地への乗り継ぎに便利な拠点として期待されている。本格的な夏休みシーズンを直前に控え、J-CASTニュース記者が新路線を体験した。上下2回で報告する。

「長距離飛ばすほどコストパフォーマンスが良い」

欧州の中規模の都市に行く際は、パリやロンドンといった大都市拠点(ハブ)空港で乗り換え、目的地に向かうことも多かった。ヘルシンキには、これまでもフィンランドのフィンエアーが成田、関空、中部から乗り入れていたが、これにJAL便が加わってネットワークが増強された。ヘルシンキからはフィンエアーが運航する欧州内の41都市に乗り継ぐことができ、乗り継ぎ拠点の有力な選択肢のひとつとしてヘルシンキが加わった形だ。

787は「長距離を飛ばすほどコストパフォーマンスが良い」とされる。ヘルシンキ線は同社が787で運航する路線としては成田-ボストン線、成田-サンディエゴ線に次いで距離が長く、787のメリットを最大限生かした路線だと言える。

また、乗客にも恩恵がある。787は主要部品が従来の鉄ではなくカーボンでできているため、湿度や気圧を高く保つことができる。その分、フライト中の喉のイガイガ感や肌のパサパサ感が従来機に比べて軽減されている印象だ。

エコノミークラスの2度目の機内食では、熊本県のご当地グルメを集めた「AIRくまモン」が出される(13年8月まで)。中華麺の一種「太平燕(タイピーエン)」が目玉で、機内食としては珍しい「汁もの」を味わうことができる。

ストックホルム行きは5時間以上短縮できる

ヘルシンキの特徴は「日本から近い欧州」であること。日本からロンドンやパリには12時間半程度かかるが、ヘルシンキだと10時間半で着く。乗り継ぐ際も、そのメリットを活かすことができる。

例えばJALの試算によると、成田からストックホルム(スウェーデン)に行く場合、乗り継ぎ時間と合わせるとパリ経由だと17時間50分かかるが、ヘルシンキ経由だと5時間25分短い12時間25分で行ける。デュッセルドルフ(ドイツ)に行く際も、パリ経由15時間45分、ヘルシンキ経由14時間25分と1時間20分短い。

ヘルシンキ空港での乗り継ぎもスピーディーで、最短35分で乗り継ぐことができる。

まず、成田で預けた荷物はヘルシンキで回収する必要はなく、そのまま目的地まで運ばれる。

動線もシンプルだ。乗り継ぐ場合、降りてからすぐに保安検査を受ける。検査を抜けてから、ちょっとした分かれ道がある。

欧州の大半の国は、「シェンゲン協定」と呼ばれる協定に参加しており、協定に参加している国どうしを結ぶ路線は、事実上の国内線と考えてよい。フィンランドも含む欧州連合(EU)の大半が参加国だ。反面、EUの中でも英国などが不参加だ。ロシアも同様に不参加。

保安検査抜けたら「ロンドンは右、ローマは左」

保安検査を抜けた時点では、入国審査が終わっていない「非・シェンゲン」エリアだ。入国審査を通過せずにすむ分、非・シェンゲンのロンドンやモスクワ行きへの乗り継ぎの方がスムーズで、保安検査を抜ければ数分で搭乗ゲートまで行ける。

ドイツやフランスなどのシェンゲンエリア行きの便に乗るためには、入国審査を受ける必要がある。混み具合にもよるが、ゲートまで少なくとも15分はかかるとみたほうが良さそうだ。

空港内には日本語の掲示もあり、迷う可能性は非常に低そうだ。保安検査後は「非・シェンゲンは右、シェンゲンは左」と覚えれば間違いない。

JALのヘルシンキ線は欧州各地への乗り継ぎ需要を見込んで開設されたが、ヘルシンキ観光を楽しむ人も予想外に多いという。乗り継ぐにしても、ヘルシンキで1〜2泊してから目的地に向かうのも一興だ。連載(下)では、短い日程でフィンランドを楽しむ方法について報告する。