【第2話】NISA口座を作ろう

前回は、NISAの制度と仕組みの概要についてお話ししました。

銀行預金や一般の証券投資では、その利子や収益に約20%の税金(所得税など)がかけられるのに対して、NISAなら税金を払わなくてもいい。つまり、お得。──という話でしたね。

今回は、そのお得なNISAの優遇措置を受けるための準備について解説しましょう。

まず大前提として、NISAは「NISA口座」を設けないとダメ、ということです。すでに証券投資をされている人であれば、証券会社や銀行などに口座を持っているわけですが、その既存の口座では「非課税」の適用を受けることができないのです。

したがって、今までの証券口座とは別に、新たに「NISA口座」を設定することが必要になりますが、NISA口座は、一人1口座と限定されていますので、複数の証券会社や金融機関で利用は複数のNISA口座を開設することはできませんので、注意してください。

「NISA口座」をつくるためには、次の2つの書類が必要です。

 ? NISA口座設定の申込書
 ? 住民票の写し など

このうち、?の「NISA口座設定の申込書」は、口座を開く証券会社などにありますので、実質的に自分で用意しないといけないのは、?の「住民票の写し」だけです。

これがチョット面倒くさいですが、無駄な税金を払わなくてよくなるのだから、これくらいは我慢しましょう。

なお、「住民票の写し」は市区町村の役所に行って発行してもらいますが、交付から6か月以内で、2013年(つまり今年の)1月1日時点の住所が記載されたものに限りますので、要注意です。「住民票の写し」以外にも使える書類はありますが、詳しい説明は証券会社・銀行など金融機関で聞いてください。

さて、前回でお話しした通り、NISAの「非課税の投資枠」は、1年ごとに100万円を上限とします。これがそれぞれ5年後まで有効です。

1年目は100万円、2年目は200万円……となって、5年目に最大の500万円が非課税の投資枠となりますね。そしてこれは「1人につき」最大の500万円ということです。そうすると、ご家族がいれば、その人数分だけ非課税の投資枠が増えることになります。配偶者はもちろん、子や孫の名義を使うことで非課税となる枠は拡大できます。

ただし、ここで注意しなければいけないのは贈与税です。子や孫にお小遣い程度のお金を渡すのとは異なり、まとまった金額を贈ると課税の対象となるというのが原則です。

しかしながら、贈与税には非課税枠があって、親から子への生前贈与は「年間110万円までが非課税」です。つまり、1年ごとに100万円を投資金額の上限とするNISAは、生前贈与の非課税枠に収まっていますので、生前贈与とNISAは、極めて相性が良く、NISAによる子供や孫名義での積み立ては、将来の相続税対策にもなるわけです。

【贈与税の速算表】
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基礎控除:年間110万円
計算例:1年間で500万円を贈与した場合
(500万円−110万円)×20%−25万円=53万円

もちろん、NISA以外の贈与があって、NISAと合計して年間110万円を超えるような贈与を行なえば、贈与税を払わなければなりません。しかしながら、運用益が非課税になるという特典があるNISAは、生前贈与プランでは、優先的に利用すべきだと思いませんか?

NISAを「一家に1口座」ではなく、家族全員に対して「一人に1口座」開設して、賢く節税対策しましょう。

ちなみに、個人による非課税投資残高は、金融庁の試算によると、7年後の2020年までに25兆円に達する見込みです。また、別の民間の調査では、NISA導入の初年度だけでも、500万人から630万人程度がNISAを利用すると予想しており、潜在的な利用者数は970万人と推計されるのだそうです。

日本の家計が保有している金融資産は1,500兆円で、そのうち預貯金が占める割合は、他の国と比べてダントツに高い55%ですから、NISA口座に流れていくお金の源流がここにあるようです。

(文/村形 聡)

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1995年独立、2007年に税理士法人ゼニックス・コンサルティングを設立しCEOに就任。税務顧問のみならず、経営コンサルタントとしても活躍し、これまでにかかわってきた中小企業は800社を超える。また、現在、光世証券株式会社(http://www.kosei.co.jp/)の非常勤監査役も務める。著書は「会社の数字を読みこなすための基本とルール」、「小さな会社の税金と節税」、「スラスラ読める個人事業の経理」(いずれも新星出版社)、「ポイント図解式会計 財務諸表と経営分析」(アスキーメディアワークス)、「日本一やさしい会社の設立と運営の学校」(ナツメ社)など多数。近著として「社長のための非常識な会計のルール」(日本実業出版社)がある。趣味はベースを弾くこと。常時3〜4つのバンドを掛け持ちしており、そちらも多忙の様子である。 http://www.xenix.com