G20でも取り上げられるなど、中国の不透明な金融取引である「影の銀行(シャドーバンキング)」問題が注目を集めている。「影の銀行」とは、日本でいえば“闇金融”に近いものもある。金融機関や財政面で余裕のある企業は、影の銀行を通じて、信用力の低い中小企業や事業に高金利でお金を回すことができる。

 影の銀行は中国の成長を支えてきたが、それが泡のように膨らみ、膨大な不動産在庫と企業の生産過剰を生み出し、いまや危険水域をとっくに超えているという。こうした「闇金バブル」がはじければ何が起こるのか。

 日本には大きく分けて2つの深刻な影響が想定される。第1に、中国「闇金バブル」崩壊の足音が聞こえた時点で、日本から中国の投資マネーがいっせいに逃げ出す。

 安倍政権誕生後、株価上昇に沸き立つメディアが多い中、本誌は何度も「株価上昇は海外マネーの流入に過ぎず、それがストップした時点でアベノミクスは終わる」と指摘してきた。

 その一翼が中国マネーだった。特に不動産分野においては、「銀座、六本木、赤坂、青山などの東京都心の優良物件を買い漁っているのは中国系資本が中心」(外資系ヘッジファンド代表)だという。

 そうした旺盛な投資欲のおかげで、都心部の地価は反転上昇の兆しを見せ、長引く資産デフレにも終止符がつきかけていたところだ。だが、中国マネーが日本から引き上げれば不動産はだぶついて価格は下がり、再びデフレへと向かうだろう。

 第2の影響は、中国株や中国ファンドに投資している個人や企業が大きな損失を出し、中国進出企業や中国への輸出で利益を上げている企業の業績が急速に悪化することだ。

 中国経済が崩壊すれば、当然、中国株全体が下落する。なかでも真っ先に下落するのは、不動産関連銘柄、不動産業界に投資していた金融関連の銘柄、資金不足に陥るインフラ関連の銘柄などだろう。逃げ遅れれば大きな損失を免れない。立花証券顧問の平野憲一氏がいう。

「中国への輸出、中国での現地販売で利益を上げている日本企業の業績も大きなダメージを受けます。代表的なのがファーストリテイリングやセブン-イレブン、ローソンなどの小売業、トヨタ、日産、ホンダ、コマツ、日立建機、ユニ・チャームなどの製造業です。

 取引先の中国企業から代金が支払われないこともあるでしょうし、独裁国家である中国では、日本企業の財産がすべて没収される可能性もゼロではありません。中国依存度の高い中小企業の中には経営危機に陥ったり、倒産に追い込まれたりするところも出てくるでしょう」

 そうした企業名を見ると、アベノミクス相場を引っ張ってきた大企業がズラリと並んでいることがわかる。この半年で業績が上向いた企業には、中国を主要取引先とする企業が多いのだ。アベノミクスの失速は避けられないだろう。

※週刊ポスト2013年8月9日号