2013年1〜3月期の金の世界需要トップはインドを抜いて中国に!
4月中旬に200ドル超の下げに見舞われた金市場。急落で起きたのはインドを中心としたアジアでの現物買いの沸騰だった。だが、その直前の3月には中国の輸入が激増。1〜3月期の需要量は中国がインドを上回りトップだった。


2013年1〜3月期の金の需要統計が、広報機関であるWGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)から発表された。全体の需要は963トン。これは前年同期(以下同じ)の1107トンから13%の減少となった。大きく数字を落としたのは投資部門で、395トンから200トン(49%減)とほぼ半減に。

地金や金貨は、342トンから377トンに増加した。一方、ETF(上場投信)など金現物関連商品は、プラス53トンからマイナス179トンとなり、資金流出が響いた。

これは年始から続いてきた金ETFの残高減少が、そのまま全体需要の減少につながったことを表している。ちなみに、宝飾品は490トンから551トンの増加に。アジアやインド、中東などで高カラットの金宝飾品を貯蓄の対象として買い求めたため、そうした買いがこのカテゴリーの数字を押し上げたと考えられる。

ここ数年、話題になっている中央銀行の買いについては109トン(マイナス5%)だが、前年からの勢いは持続している。その内容はロシア=24トン、韓国=20トン、ウクライナ、カザフスタンが増加。新顔ではインドネシアの3トン増が目についた。新興国の中央銀行による購入の顔ぶれも広がりつつある。

国別需要ではインド、中国がトップを競っている。春節(旧正月)を挟んだ時期が最大の需要期にあたる中国が294トン(プラス20%)で、インドの256トン(プラス27%)を上回り、1〜3月期では昨年に続きトップとなった。インドでは、原油に次いで輸入金額の2番目を金が占めている。だが、政府が貿易赤字を減らそうと金の輸入に規制をかける動きを強めている。

また、1〜3月期は香港から中国への金の輸出(=中国の金輸入)が激増し、市場関係者を驚かせた。

香港の統計局によれば、中国の金輸入量は223トン、輸出量は93トン。2月の輸入量が97トンだったので2倍強になる。さらに、前年同月の62トンからは3倍以上となった。過去、単月での最高は110トン程度なので、倍の規模で記録を塗り替えたことになる。

3月は価格がまだ1600ドル前後にあり、急落前だったので、価格水準が大きく下がった4月の輸入はどうなったのか、発表が楽しみである。この輸入急増の背景には、中国人民銀行による介入の存在を疑わざるを得ない状況だ。

※需要統計のデータは小数点以下切り落とし。



亀井幸一郎(KOICHIRO KAMEI)
マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表

中央大学法学部卒業。山一證券に勤務後、日本初のFP会社MMI、金の国際広報機関WGCを経て独立し、2002年より現職。市場分析、執筆講演など幅広く活躍中。




この記事は「WEBネットマネー2013年8月号」に掲載されたものです。