2012年に起きた尖閣諸島問題以降、日本と中国の緊張状態が盛んに報道されています。経済的、政治的に消極的なイメージを持っている人が大多数であろう日中関係ですが、7月25日に発売された書籍『超実践 ネクストチャイナ・マーケティング』によれば、中国現地には日本を友好的にとらえている生活者は意外にも多いとのこと。10年ものあいだ中国市場を現地で見つめてきた著者の青木生さん(株式会社博報堂・PR戦略局/チャイナビジネスプラニング局)と木戸良彦さん(同社・チャイナビジネスプラニング局)に、同書についてお聞きしました。



――この本を書かれた理由をお聞かせください

青木さん:"多くの日本企業が中国でチャンスを逃している。もったいない。"という思いがこの本を構想したキッカケですね。"中国は日本嫌い"とイメージを持たれている方が多いと思うんですが、「日本が好き」「日本の品質は素晴らしい」と思っている中国人もたくさんいるんです。そういうニーズを日本の企業は捕まえきれてないんじゃないか。とても、もったいないことをしているな。なんとか力になれないかと...。

木戸さん:中国っていうワードがタイトルについている歴史文化や経済の本は沢山あると思うんです。でも、我々が考えたのは中国でビジネスを展開するうえで、もっと"現場で活用できる武器をご提供できないか"ということ。中国で10年間仕事をしてきた我々だから書けたのではないかと思いますね。

――急激な勢いで経済発展を遂げている中国。そこで生活する人々を現地で見つめてきた2人は、今の中国を「モーレツ+ビューティフル」という言葉で表しています。

青木さん:日本の高度経済成長のときに、一生懸命死ぬものぐるいで働くという時代からゆっくりゆったり人生の美しさを求めるという時代の変化があったと思います。中国の場合は経済発展と同時並行で、品位や品格、教養の成熟が進んでいるんです。AからBに変わるんじゃなくて、AとBが同時に進行しているというところから、"モーレツ+ビューティフル"と書いたんです。また、ビューティフルというのは外見の美しさじゃなくて、内面美というか、人間として正しく美しくあれるかという意味でのビューティフルと捉えています。こういう話をしていると、本当に中国人がそんなこと思っているの? と感じる方も多いと思いますが、事実、兆しとして徐々に表れているんですよ。

――日本の製造業が中国に製造拠点を集中して構えるリスクを軽減するために、中国以外に拠点を構えるという考えから生まれた言葉「チャイナ・プラス・ワン」。しかし書籍『ネクストチャイナ・マーケティング』では、「チャイナ・プラス・オン」という新しい考え方を提示しています。

木戸さん:決して、チャイナ・プラス・ワンを否定しているわけじゃないんです。高騰する中国の賃金を考えれば生産拠点を他の国に移すのは当然の戦略です。しかし、チャイナ・プラス・ワンという言葉が独り歩きし、かなり広義な意味を持つようになっている気が個人的にはしています。本書で我々が申し上げているのは、ビジネス機会を考えたときに、中国は今でも最も期待度の高い国であり、正しい戦い方さえ採用すれば、オンをすべき価値のある市場である、ということです。実際、中国にとって代わる単一市場など存在しないわけですから。

――生活者に有益な情報を提供していくことを考えたとき、中国という国は情報を発信しやすいですか?

青木さん:近年の中国は、広告だけでなく、口コミもイベントもPRもすべてが増幅しているように感じます。そのかわり、しっかりとニーズを捉えた情報を提供しないとすぐに埋もれてしまう。なにしろ、媒体の数だって膨大ですから。新聞にしても、日本では考えられない媒体数があるんです。ネットも含めたら、本当に想像を絶する数ですよ。だからこそ、しっかりした情報戦略を練らないといけない。でも、琴線に触れれば、すごいリターンがあるから、やりがいも大きい。

――この本をこれから読まれる方たちに一言お願いします。

木戸さん:表紙にも書いてありますが、この本のコンセプトは「超実践」。そこに僕らのメッセージがあります。今の政治はこうですよ、経済はこうですよという知識論じゃなくて、リアルな市場と生活者の実態から導き出した実践論が凝縮されています。実は本書は私と青木さんで猛スピードで書きあげ、PHP研究所の方の大変な尽力もあって、相当な短期間で刊行に至っています。その意味でも、本当に今のリアリティに溢れる本になっています。

青木さん:我々は比較文化論をやるつもりはありません。中国市場で奮闘する方の助けになればという思いで、この本を書きました。だから、特に日々中国ビジネスと向き合う実務家の方々にぜひ読んでいただきたいですね。




青木さん、木戸さん、ありがとうございました。これからの中国ビジネスを実践的に提示する『ネクストチャイナ・マーケティング』。同書に込められたアイデアや発想は、ビジネスパーソンに新たな閃きを与えるかもしれません。





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