「もうはまだなり、まだはもうなり」。高所恐怖症と出遅れ投資家たち
5月下旬、株式市場は荒れ模様に転じた。それまでほぼ一本調子で上げてきた株価は日経平均株価で前日比1100円を超す下落となった。翌日には大きく戻した後の売りで1000円もの幅の乱高下に。日本株市場がまさしく「もう」なのか、それとも「まだ」なのか…。短期投資家に振り回されないドシッとした長期投資家の存在こそが、今の日本株市場に求められている。


日本株市場は今が「もう」なのか「まだ」なのか、判断に悩む

相場格言の代表格に「もうはまだなり、まだはもうなり」というのがある。「もう、このあたりが上値の限界だろう」と相場の先行きを読んで保有株を売ると、それをあざ笑うかのように、そこからガーンと吹き上がることがしばしば発生する。あとで「安値を売ってしまった」とじだんだを踏む。

あるいは「この上昇相場の腰は強い。まだまだ上がるだろう」と高値もおかまいなしに買い増しをしているうちに、いつしか相場は天井を打って下降に転じる。しまったと思っても、後の祭りである。

どうだろう、日本株市場は今が「もう」なのか「まだ」なのか、判断に悩むところではなかろうか。

株価全般はこれまで急ピッチで上昇してきた。もう上昇は精いっぱいであるかのようなフラフラ高を演じるどころか、結構大きく跳ね上がる日がやたら多かった。一方、これだけ短期間で70%強もの株価上昇というのは、戦後2番目の快挙らしい。そんな報道に接すると、「そろそろ調整局面があってもいいはず」と思いたくもなっていた矢先の5月下旬、荒れ相場に転じた。

日経平均株価が1万5942円の高値をつけたとたんに急落。終値では1日で1100円を超す暴落症状を見せたし、翌日には大きく戻した後の売りで1000円幅の乱高下となった。

はっきりしているのは、ここまでの大幅な上昇相場のスピード調整が、どこかであって当然だったことだ。そのタイミングを狙っていたヘッジファンドなどが、待ってましたの売り崩しを仕掛けたわけだ。新聞やテレビで識者たちが下げの理由をいろいろ並べ立てているが、そんなものは株価の上昇過程でも内在していたではないか。別に目新しいものは何もない。いつの上昇相場でも、あるいは暴落相場でも、直接のきっかけなんて「ない!」と断言していい。

ヘッジファンドなどが一番嫌がるのはドシッとした投資家の存在だ

今回の暴落相場も、半年ほどで70%も株価が上昇した調整局面にすぎない。そこをわれわれ長期投資家のように、ゆったり構えられるのはごく少数派。長期的な方向は上向きだから、「安いところがあれば選別買いの好機」と手ぐすね引いて待っていられる。一方、ほとんどの投資家は乱高下している相場にどう対応するかできゅうきゅうとしている。5月の下げには、かなり困惑しているのが現状だろう。

ヘッジファンドから見ると、相場を追いかけるだけの投資家が右往左往してくれると、好き放題に暴れられる。逆に、ヘッジファンドなどが一番嫌がるのは、ドシッとした投資家の存在だ。その最たるものが長期投資家なのだ。

まあ、多くの投資家が高所恐怖症あるいは出遅れで青くなったり焦ったりしている横で、われわれ長期投資家は楽なものである。

半年前までの安値で、日本株をたっぷりと買い仕込んできた。どこで売っても利益だし、たとえ1割や2割の下げを見ても別にビクつくこともない。もちろん、上昇相場が続いてくれるなら、なおよし。そういった余裕の目で相場を眺めると、いろいろ次の展開が見えてくる。

一番は、ここまでの株価上昇で経済活動全般に資産効果が出始めていることだ。高額商品を中心に消費が上向いてきているし、景気動向にも明るさが出てきた。