【第1回・NISAを知ろう】

最近、新聞などの広告に「NISA」の文字が踊っています。「ニーサ」と読むのだそうですが、「あれって、一体、なニーサ?」と思っている人は多いようです。

実はあれ、来年1月から始まる個人投資家のための新しい「税制優遇制度」なのです。日本版ISAとも呼ばれています。わざわざ「日本版」という接頭語のようなものが付いているのは、もともとは英国で1999年に開始され、今では広く普及しているISA(Individual Savings Account・個人貯蓄口座)制度をわが国に取り入れたためです。「NISA」は日本(NIPPON)の「N」プラス「ISA」というわけです。

それでは、どのように税金が優遇されるのでしょう?──それには、現在の証券投資に関する税金の制度を知っておく必要があります。

今の証券税制では、株式や公募投資信託を売買して得た利益や受け取った配当金などに対して約10%の所得税が課せられています。例えば、100万円で株式を買って、120万円で売った場合には20万円の利益になりますが、このうちの10%部分である2万円が税金として徴収されます。利益の10%部分とは言っても、せっかく儲けたのに、これは痛いですよね。

しかし、これは本来20%であった税率が、この数年だけ特例で10%に抑えられていたもので、来年(2014年)1月からは元の20%に戻ってしまいます(正確に言うと、復興特別所得税を含めて20.315%です)。

来年になると、今年以上に税金が取られてしまうのです。せっかく、アベノミクスで景気回復しようという時に、税金が増えちゃうなんて、株式投資をする意欲がなくなり、お金の循環が悪くなる恐れがあります。これでは、国の経済政策としてもマズイですね。

そこで、証券投資の税率を10%から20%にアップさせる(もとの税率に戻す)一方で、税金がかからない部分も新たに設けることにしたわけです。これが「NISA」による税制優遇です。

具体的には、2014年からの10年間、上場株式・公募株式投信等について、毎年の投資元本100万円を上限に「非課税投資枠」を設定でき、そこから得られる利益(売買益や配当金など)の税金がゼロがとなるもので、この非課税投資枠を設定する口座のことを「NISA口座」と呼んでいます。

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単純計算をすれば、毎年100万円ずつの非課税投資枠が、10年間にわたって認められるわけですから、100万円×10年間=1000万円もの非課税投資枠と考えてしまうかもしれませんが、1年ごとの「非課税投資枠」の有効期間は5年間とされていますので、同時に非課税で運用できる金額としては、最大で500万円となります。

【非課税投資枠のイメージ】

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ところで、今を遡ることおよそ8年ほど前、2005年頃までのことですが、一定の条件を満たす預貯金の利息などに税金がかからない「マル優」という制度がありました。これは、当時の預金者にとって、なかなかお得な制度でしたので、これが日本人の貯蓄率を向上させる原動力になったとされています。

そして、今回のNISAは、証券投資の「新・マル優」とも言える制度です。先ほども述べましたように、来年から証券投資の税率が10%から約20%へ上昇してしまいます。そして、ともすると忘れがちではありますが、銀行預金の利息に対する税率も、ずっと以前から20%となっています。そう考えますと、金融資産の運用について課税がゼロとなるのはNISAだけだということにもなりますね。

積極的な証券投資を考えていなくても、銀行預金として資金を眠らせておくくらいなら、その資金を「NISA口座」に移動して、この非課税枠を使わない手はないわけです。税金でもったいない思いをする前に、とりあえず、1人に一つ、NISA口座は作っておくべきだと思いませんか?

というわけで、次回はNISA口座開設の手続きについてお話しましょう。

(文/村形 聡)

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1995年独立、2007年に税理士法人ゼニックス・コンサルティングを設立しCEOに就任。税務顧問のみならず、経営コンサルタントとしても活躍し、これまでにかかわってきた中小企業は800社を超える。また、現在、光世証券株式会社(http://www.kosei.co.jp/)の非常勤監査役も務める。著書は「会社の数字を読みこなすための基本とルール」、「小さな会社の税金と節税」、「スラスラ読める個人事業の経理」(いずれも新星出版社)、「ポイント図解式会計 財務諸表と経営分析」(アスキーメディアワークス)、「日本一やさしい会社の設立と運営の学校」(ナツメ社)など多数。近著として「社長のための非常識な会計のルール」(日本実業出版社)がある。趣味はベースを弾くこと。常時3〜4つのバンドを掛け持ちしており、そちらも多忙の様子である。 http://www.xenix.com