女性研究者が日々の研究活動と子育ての両立などで意見交換した。

写真拡大

地域の子育て支援活動の表彰と、人文・社会科学系の女性研究者への支援の「二本柱」で取り組んでいる「未来を強くする子育てプロジェクト」は、住友生命が創業100周年記念事業として2007年から始めた。2013年の今回で7回目だ。

「柱」の一本である女性研究者の子育て(未就学児の育児)支援のための助成制度は、これまで60人の研究者を支援してきた。子育て支援を受けた女性研究者がこれからの支援の輪を広げるため、日々の研究活動と子育ての両立などについて、このほど都内で意見交換した。

悩みは研究活動のための環境づくり

一般に、研究支援などを助成する制度は、期間を決めて研究成果を求めたり、助成金の使い道が研究費に限定されていたりする。

しかし、現実に育児中の女性研究者が抱えている悩みは、研究活動のための環境づくりにある。子どもが熱を出せば、夜中でも付きっきりで看病するし、保育園に入れることができず、子どもをおんぶして研究室へ通いながら、場合によってはフィールドワークにも出かける。

研究に集中するために、ベビーシッターを頼んだり、実家の母親に出張先まで来てもらい、子どもの面倒をみてもらったりすることも少なくない。この助成制度は、そうした研究を続けるための子育て費用にも使える。

6月14日にあった意見交換で、ある女性研究者は、「研究をあきらめかけていたとき、この助成制度で続けることができました」と振り返った。「本当に子育て費用に充ててもいいのか確認したときに、『おむつでも、かまいません』の言葉に、しばらくは信じられなかった」と語った。

また、人文・社会科学系の女性研究者を助成の対象としているのも、このプロジェクトの特色。理工系の研究者と比べて、すぐ目に見える成果が表れずわかりづらいため、周囲の目が冷ややかだったり、理解が得られにくかったりという悩みがある。

「(子どもは)誰よりも力強い応援団に」

それでなくても、女性研究者はいつも子育てと研究をてんびんにかけて、「子育てに専念せずに、このまま研究を続けていいものか」との悩みを抱えている。研究活動を認めても、家事や子育てとの両立を含めて、「それはあなたが選んだことでしょう」と、すべて女性に選択が迫られる。

現在は子育て中の女性が働くことや研究活動に打ち込むことを、面と向かって批判をする人は少なくなったが、精神的な負担を感じる場面はなお多い。

そんな現在の女性研究者に、「子育て女性研究者」の先駆けで、プロジェクトの選考委員でもある恵泉女学園大学大学院の大日向雅美教授は、「女性が子育てと研究を両立することは今なお大変です」と指摘。

「さまざまな困難が重なって、研究を中断せざるを得ないと思いつめたり、なかなか成果が見えないなかで焦ったり、自分を責めたりもするでしょう。それでも、あきらめないで。子どもを愛しながらも、自分の道を貫こうとする母親の姿を、子どもは見つめています。誰よりも力強い応援団になってくれます。そして、母親の生き方にならって子供も力強く生きてくれることでしょう」と、エールを送る。

この助成制度のよさは、研究成果のみならず、研究を続けていくための計画や姿勢なども考慮して支援を決めていることにある。つまり、「研究を続ける」ことで、女性研究者の「未来」を支援しているのだ。

第7回を迎えた「未来を強くする子育てプロジェクト」は現在、未就学児の育児と研究活動に奮闘する人文・社会科学系の女性研究者を募集している。