[其ノ二 FX 投資戦略編]米ドル/円の買い 選挙前は円安・株高を死守!選挙後も継続へ
6月にかけて日本株と為替は波乱となったが、7月の参院選に向けた安倍政権の思惑とは?


参院選後も政権与党は円安の弊害を強調できない!

昨年11月以降の円安相場の重要な前提のひとつは、安倍政権は少なくとも7月の参院選までは、選挙での勝利を確保するために金融政策を柱としたリフレ政策を続ける、というものでした。

政治・選挙結果は直前まで何があるかわからないもので予断を許しませんが、少なくとも最近までは円安・株高基調が継続し、景気見通しも改善、世論調査における自民党の支持率も野党の混乱もあって上昇してきています。

株価に表される景況感の改善は与党支持率の押し上げ要因であるため、これまでのアベノミクスは大成功でした。では、参院選で勝利した後、自民党はアベノミクスを後退させて円安の弊害を強調したり、来年4月には消費税増税を断行したりするでしょうが、その結果として円安が反転するでしょうか?

そうはならないでしょう。

株価上昇は今回の選挙のためだけでなく、仮に自民党が衆参両院で過半数を獲得し安定政権となっても、今後の国会運営を安定的に行なうには景気がよく、株価が上昇し、結果として与党支持率が高いに越したことはないのです。

景気が上向きであれば、消費税増税の景気下押し効果も抑制され、財政健全化実施という実績も上げられます。

物価上昇も、資産価格が上昇して景気改善と賃金上昇につながれば、悪影響は軽減されます。逆に言えば、株高、景気回復、デフレ克服、財政再建には、金融緩和とその結果としての円安が続かなければならないといえるでしょう。

このため、参院選で自民党が勝利する場合には、これまでの円安政策が過半数の国民に支持されたことを示すということもあり、円安は続くでしょう。逆に、自民・公明で過半数に満たない場合や、事前予想ほど自公の議席数が伸びない場合には、アベノミクス推進力の後退が懸念され、円が反発するリスクがあります。後者の結果を受けて米ドル/円がどの程度下落するかは、米国における相対的な景気の堅調さと量的緩和縮小への期待を受けた米ドル高シナリオが、どの程度強まっているかに依存するでしょう。





【今月の先読み軍師】
山本雅文(MASAFUMI YAMAMOTO)
FXストラテジスト

日本銀行で10年にわたり重要な為替取引や調査に従事した後、日興シティグループやバークレイズ銀行でチーフFXストラテジストを務めた。



この記事は「WEBネットマネー2013年8月号」に掲載されたものです。