鳩山由紀夫元首相が、訪問先の中国で「尖閣諸島を『日本が盗んだ』と思われても仕方がない」「1972年の日中国交正常化交渉の中で尖閣問題を棚上げする合意があった」などと繰り返し発言し、北京の人民大会堂で李克強首相と面会するなど中国政府から異例の厚遇を受けました。

 鳩山氏の主張は、第二次世界大戦中に連合軍の対日方針などを定めたカイロ宣言のなかで、日本の無条件降伏とともに満州や台湾、島嶼部の返還が定められていることから、「カイロ宣言の中に尖閣が入るという解釈は、中国から見れば十分に成り立つ話だ」ということのようです。

 ところで、田中角栄と周恩来の会談で尖閣問題棚上げの合意があったという話は、田中派幹部で自民党の官房長官でもあった野中広務氏が今年6月に明言しています。日本政府は「尖閣をめぐる領土問題は存在しない」との立場ですが、尖閣諸島を係争地と認めたうえで「棚上げ」に戻し、日中関係の改善を図るべきだと主張するひとはほかにもおり、鳩山氏一人の暴論というわけではありません。

 問題は、日本国首相という重責にあった人物が、領土問題をめぐって中国側の主張を全面的に支持していることにあります。ただでさえ尖閣問題については、「中国の抗議を無視して一方的に国有化した日本に責任がある」との議論が欧米でも一定の理解を得ています。そのうえさらに、日本国の元首相が「中国が正しい」といい出すのでは、日本の立場はますます不利になってしまいます。

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