今年に入ってから激しい乱高下を演じている金相場だが、その先行きはどうなるのか、金市場に詳しい豊島逸夫氏が解説する。

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 短期的には下落が続いている金相場だが、 今後10年という長い目で見れば、私の見方は「超強気」である。控え目に見ても、この先10年間のうちに金価格は現在の倍に当たる1オンス=3000ドルまで達したとしても何ら不思議ではないだろう。
 
 何しろ金の生産は今後減少していくことが確実視されている。ここから生産量を増やしていくには、海底まで手を伸ばすか、リサイクルを増やすほかない。だが、リサイクルには限界があり、海底から掘り起こすには莫大なコストがかかる。

 供給の増加が見込めないなか、インドや中国をはじめとする新興国の成長が進めば、輪をかけて金買いが加速するのは必至の情勢だ。供給が減って需要が増える以上、金価格は上がるしかないのである。

 確かにこの先2年ほどは金投資は我慢を強いられるだろう。その間に大儲けしたいなら株式投資にでも励んでいた方がマシかもしれない。しかし、その先まで見通せば、金の輝きは失われるどころか、まずます輝きを増そうとしている。その時期は、早ければ15〜16年にも訪れるかもしれない。そう考えていくと、ここで金を見限るのはいかにも早計といえるだろう。

 ましてや、われわれ日本人は世界的にも有利な立場にあることを忘れてはならない。ドル建てと円建ての金価格の比較チャートを見れば一目瞭然だが、ドル建てでは下落傾向にあるのに対し、円建てでは上昇傾向にある。とりわけ今年2月にはドル建て金価格が切り下げるなか、円建て金価格は5300円台という過去最高値を記録したほどである。

 いうまでもなく、これは円安の恩恵にほかならない。海外ではドル高に伴って金価格そのものが値下がりし、いわば「下げやすく、上げにくい」相場となっている。一方、国内ではそもそもの金価格が上がらずとも、円安によって相対的に円建て価格が上昇しており、いわば「下げにくく、上げやすい」相場となっているのだ。

 このような「潮目の変化」に気づくと気づかないとでは今後大きな差が生じるかもしれない。この先さらに円安が進み、ドル建ての金価格も上昇に転じれば、われわれ日本人はダブルでその恩恵を受けることまで期待できるに違いない。

 そのようなシナリオを想定すれば、金への投資方法はさほど難しくない。安値圏にある今のうちにコツコツと買い集めればいいのだ。金価格の大幅な上昇が見込めない今こそ、「純金積立」を始めるチャンスといえるだろう。

 そして、「純金積立」には毎月一定額を積み立てるだけでなく、ここぞという時にまとまった資金で買い増すことができる「スポット購入」という手もある。この先、米国が金融引き締めに舵を切るなどしてドル建て金価格が1300ドルを割り込むような展開になろうものなら、むしろ強気になって買い進めることをお勧めしたい。地道に蒔いた種は、やがて大きな実を結ぶはずである。

※マネーポスト2013年夏号