40歳未満世代の持ち家率が低下傾向に




40歳未満、持ち家比率低下。購入と賃貸、どちらが有利?

平成24年度の国土交通省白書が話題を呼んでいます。テーマは「若者の暮らしと国土交通行政」でしたが、考えさせられる問題を提起しています。


要約すれば、40歳未満世代の持ち家率が低下傾向にあり、賃金が伸び悩み雇用不安もあるため、多額の借財は背負いたくないと考えていることが最大の理由として挙げられています。この他にも未婚・晩婚化の影響で、「当面は自分に使い勝手の良い仕様と広さが有れば充分」や「限られた可処分所得は自分のライフスタイル優先で使いたい」といった意識の変化もあると分析されています。


一方では、20代、30代で土地建物を所有したいと考えている人の割合が、75.5%と相反する集計結果も出ています。経済性より利便性を重視した、都心への回帰傾向も続いており、何が彼らの本音なのか、自己肯定的な言い分を鵜呑みにするわけにはいかないようです。


検証の結果、経済的に有利なのは「購入」


購入と賃貸の選択には、どちらが経済的に有利かと言う点についての検証が欠かせません。


そこで、一つの試算を行いました。15年後の買替え・引越しを前提とする、2LDK5千万円相当のマンションの購入と賃貸についてです。土地と建物の時価比率は4:6、借入金利は2.9%の固定、地価の変動はなく建物に減価償却相当の売却損が発生し、税制上の優遇措置は満額享受するとの前提を置きました。一方、賃貸料のグロス利回りは実勢相場の5.5%、普通借家契約により3年毎に更新料が発生するとの前提です。


単利ベースの税引き後のキャッシュフローは、購入が4.3%pa、賃貸が5.7%paと、「購入」有利の結果となりました。予想通りですが、低金利と住宅ローン控除や居住用家屋の損益通算特例といった税制上の優遇措置が効いているようです。購入の場合の不安要素は、不動産市況の動向にあります。長期にわたる株価と地価の下落で投資マインドが冷え切っており、持ち家比率の低下にも多大な影響を及ぼしていることは間違いありません。


では、どの程度のマンション価格の下落であれば結果が逆転するのでしょうか?上記試算では年率1.8%までは、賃貸よりも購入の方が有利ということになります。


もちろん、これ以外にも、大震災への不安や借入れ能力、相続税対策や家族関係など個人の事情に応じた考慮すべき要因があるでしょう。何れにしても、国民が普通に働けば、それなりの住宅が購入できるような積極的かつ有効な施策を講じることが、為政者にとっての喫緊の課題となっています。