2014年4月から消費税が5%から8%に引き上げられる。金額の大きいものほど増税の影響が大きいわけだが、その筆頭が住宅だろう。増税を目前に控えたいま、賢く住宅を購入するにはどうすべきか。不動産の市況調査を手がける東京カンテイ市場調査部の井出武主任研究員が解説する。

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 現在、マンション購入を考えている人は多いと思うが、新築マンション購入の場合、消費税が8%に引き上げられる前日の2014年3月末日までに引き渡しが完了すれば消費税率は現行の5%が適用される。しかし、引き渡しが2014年4月1日以降でも5%が適用される“裏技”がある。

 通常の売買契約だけではなく、「建築工事請負契約」(以下、請負契約)を今年9月末日までに結べば、たとえ引き渡しが2017年であっても5%の税率が適用されるのだ。いわゆるオプション注文で、備え付けの戸棚や家具を設置する、和室を洋室にするなどマンションの内装や標準プランの一部を変更すれば請負契約となる。引き渡しが来年4月以降になる未完成物件の場合は、活用を検討するとよいだろう。

 ちなみに消費増税後に新築物件を買った場合は、住宅ローン減税の拡充という恩恵を受けることができる。

 住宅ローン減税とは、入居から10年間にわたって毎年末のローン残高の最大1%が戻る制度。2014年3月末までに入居した場合は住宅ローン残高2000万円を上限に年間で最大20万円(10年間で200万円)の税金が戻るが、2014年4月〜2017年末に入居した場合は上限が2倍の4000万円に引き上げられ、年間最大40万円(10年間で400万円)の税金が戻ってくることになる(ただし、消費税率8%で購入した場合)。増税前、増税後のどちらの購入が得かは借入額などによっても変わってくるので注意したい。

 8%への消費税率引き上げ後に新築の需要が落ち込み、価格も下落するのではと考える人もいるが、私はそうは思わない。2015年10月には10%への引き上げが控えている。2014年4月以降は「8%で買えるチャンス」というセールスに転換すると思われ、本格的に供給量が減るとしても10%に引き上げられた後ではないか。

 中古マンション購入の場合、買い取り仲介業者が物件を買い取って売り主となる場合以外は、個人間売買のため消費税はかからない。手数料には消費税が課せられるが、新築のように物件自体にかけられるより遥かに額が小さい。このような観点から新築にこだわらず、消費税のかからない割安な中古を買うという選択に流れる動きも出てくるだろう。

 日銀が掲げる2%のインフレ目標の達成が現実味を帯びてくれば、地価もマンション価格も不動産価格は上がってくると思われる。将来的にマンション価格が上昇する可能性があると判断するなら、購入希望者は早めに買ったほうがいいかもしれない。

※マネーポスト2013年夏号