実在の殺人者バーニーを演じたジャック・ブラック/[C]2011 Bernie Film, LLC and Wind Dancer Bernie, LLC. All Rights Reserved.

写真拡大

リチャード・リンクレイターとジャック・ブラックという、大ヒット作『スクール・オブ・ロック』の監督&主演コンビが贈るヒューマンドラマ『バーニー みんなが愛した殺人者』(公開中)。1996年にテキサス州の田舎町で実際に起こった、39歳の男が81歳の老人を殺害した事件の顛末を、当時の出来事を知る住民たちのインタビューを織り交ぜて描く意欲作だ。本作でバーニーを演じたジャック・ブラックのインタビューを紹介しよう。

【写真を見る】「人として何かが溜まった時、それを放出するバルブがあるかどうかの差」とジャック・ブラック

――本作は実話を基にしていますが、まずその実話を聞いた時に、どう思われましたか?

「テキサスのローカルのニュースでは流れていたので、テキサスの人は知っていたんだけど、全国区のニュースではなかったため、13年前に起きたこの殺人事件のことは、僕は当時カリフォルニアにいたし、全然知らなかったんだ。監督がニュースを聞いて、ちょうど公判中ぐらいに小さな町だし、小さな町の一番愛されている男性が、一番嫌われている女性を殺した。そのおかげで、もしかしたら無罪になるかもしれない、と話題になっていたんだ。と思ったら、その公判の場所を変えたために、刑期が下されたんだ。監督が当時から話を追っていた。そして、何年も何年も温めていたなかで、映画化することになった。通常なら、陪審員たちがその人を嫌いすぎて、被告人にとって不公平な公判になる場合、法廷の場所を変えるのだけど、今回はその逆パターンでした、っていうのがすごく面白いし、結局刑期が下されたという、興味深いひねりやオチがあった。監督から初めて聞いた時には、何て奇妙で、まさに話していたような経緯があるから面白い話だと思ったよ。バーニーを演じることに関しては、最高だと思ったし、自分に合っていると思ったね。カリスマ性があって、愛すべきキャラクターであり、そして音楽的要素もある。わりとテレビなり映画なり、そういう役をやるのは自分にとって居心地が良いからね」

――本作はちょっと異質な作品ですね。殺人者が悪として裁かれるのではなく、どちらかといえば、悪いことはしていないから裁かれる必要がない、という、彼を取り巻く住民たちの感情を中心に描いています。それについては、あなたはどう考えますか?

「実際に本人に会っているので、住民の感情はよくわかるよ。すごく人を惹き付ける力があって、実際のバーニーってすごく小声だし、シャイなんだよ。あと温かくてね。一緒にいると、だから愛されるんだなとわかる人でもあったね。僕にとっては、ぴったりの役どころだと思ったけれど、ダークな面もバーニーにはあって、そういった面も自分にもあるかもしれないから、ある日突然!なんてこともあるかもね(笑)。マージョーリーとバーニーの関係って、最も愛されている男と、最も愛されていない女の陰陽コンビだったんだけれど、バーニーは人を殺せるようなタイプかって聞かれたら、そういう風に見えなかったかもしれないけど、実際に殺してしまっても、そんなバーニーだったからこそ、皆はそんなことはないって擁護するんだろうね」

――実在の人物の人生を演じるのと、フィクションで実在しない人物を演じるのとでは、どちらがやり甲斐がありますか?またどちらが好きですか?

「実際、リサーチやデータがあれば、実在の人物を演じるのは難しいわけではないんだ。今回も、実際に彼がよく歌ったり、教会で人前で話したりしていて、たくさん資料があったので、それらを参考にしてやったからそんなに大変ではなかったんだ」

――本物のバーニーは終身刑を受けて収監されていますが、もしあなたがバーニーと同じような立場になって精神的に参ってしまったとしたら、銃で撃ってしまうでしょうか?

「自分は無理だろうな。人として何かが溜まった時に、感情とか溜まったものを放出するバルブがあるかどうかという差だと思うんだよね。僕は怒ったとしても、ちゃんと人に伝えるし、自分から出してるから、いつも解放することができるけれど、バーニーはそういうバルブがなかったんじゃないかと思う。それがきっかけで、こういう事件を招いてしまったんだと思うよ。いろんな形で、心理的な虐待や追い詰められていく中で、全てを自分の内に秘めてしまう。ある程度の時間が経った時に、それがパーンと跳ねちゃったんじゃないかなと僕は思うんだ。そういった意味では、この映画は一つのその継承であると思うんだ。そういう感情を解放せずに秘めていると、そういうことになることもあるんだよ、って言えるね」【Movie Walker】