もっぱらNISAで選ばれるのは投信か?
上場株式等の売却益や配当金に対する課税が10%に軽減されてきた証券税制の優遇措置が今年末で期限切れとなり、年明けから20%に引き上げられることが株式市場に少なからぬインパクトを及ぼすことが懸念されている。しかし、それとは入れ違いに投資家にとって朗報ももたらされる。日本版ISA「少額投資非課税制度」がついに導入されるのだ。同制度は金融商品のあり方や投資家の運用スタイルに大きな影響を及ぼす可能性がある一方で、問題点や注意点も少なからず存在しているようだ。そこで、本誌は今回から短期集中連載として日本版ISAについて徹底的に掘り下げてみたい。


たとえ100万円の元手が何倍に化けても、NISAを活用すれば所得税を一切徴収されない――。こう聞けば誰しも株式などでハイリターンを追求するかと思いきや、現実はそうでもないらしい。

銀行や郵便局も販売会社に名を連ねることもあり、NISAではもっぱら投信が選ばれるとの見方が強いのだ。

昨年11月から始まったアベノミクス相場で莫大な利益を上げた人をうらやむ一方で、5月23日に不意を突いて発生した大暴落にすっかり恐れをなして、株式投資に抵抗感を抱く人も少なくないだろう。



加えて、ハイリターンに目がくらんで非課税の特典を失っては本末転倒との考え方もある。NISAでは運用がマイナスに陥った場合、その分を他の利益から差し引く損益通算が認められていない。

「本来は投信でも、ポートフォリオの基盤に据えるべきはリスクが10%以下に抑えられたタイプ。ところが、今まで日本では10%超のリスクがあるタイプが積極的に販売されてきました。NISAでは、前者が選ばれることになるでしょう。日本の個人金融資産における投信全体の割合は4%。われわれとしては、そのシェアを少しでも高めていくことが目標です」(吉田さん)

投信業界としては残高を倍にしたいという思いがある。堅実性重視はもっともだが、非課税枠が100万円と限られているので得られる果実も小さい。だが、ドイチェ・アセット・マネジメント企画部ヴァイスプレジデントの藤原延介さんは反論する。

「預貯金一辺倒だった人にとって、安定性重視の運用で100万円の非課税枠が得られるのは魅力で、NISAを通じて購入者の裾野が広がる可能性があります。もちろん、証券会社で口座を作る投資家の中には株の投資家も多いでしょうし、ニーズは二極化するはずです」



吉田研一(KENICHI YOSHIDA)
国際投信投資顧問 ISA推進室長



藤原延介(NOBUYUKI FUJIWARA)
ドイチェ・アセット・マネジメント企画部 ファイナンシャルストラテジスト




この記事は「WEBネットマネー2013年8月号」に掲載されたものです。