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宮崎駿監督の5年ぶりとなる長編アニメ映画『風立ちぬ』が20日から全国公開される。
前作の『崖の上のポニョ』を始め、スタジオジブリといえば誰も見たことがない不思議なキャラクターも魅力のひとつ。

しかし、本作では実在の人物がモデルとなっており、そのようなケースは今回が初めてなのだとか。(←初めてその1)

それだけではない。ほかにも様々な”初めて”の試みが盛り込まれ、物語自体も
これまでとは異なった雰囲気を持つ仕上がりとなっている。

ストーリー


少年の頃から飛行機の設計者に憧れていた堀越二郎は、やがて大人になり上京を決意。

時代は不景気や貧困が社会を覆い、大震災をも経て戦争に突入するという厳しい中、懸命な努力の末、彼は立派な設計者になるが……

本作では、実在の飛行機設計者、堀越二郎をモデルにその半生を愛する女性との恋物語を織り交ぜながら描いたオリジナルストーリー。堀辰雄の小説『風立ちぬ』からも着想を得ているため、ポスターには「堀越二郎と堀辰雄に敬意を込めて」と書かれている。

初めて その2


ジブリといえば、3〜4日の出来事がストーリーになっている事が多かったが、今回は、二郎の少年時代から約30年間を描いており、これも初の試みと言っても良さそう。

本作には過酷な時代の中、夢を失わずにひたすら前に進み続けた二郎の生き方、そして、

戦争に決して賛成ではないが”飛行機が大好き”という想いで戦闘機を作るという心の葛藤も描かれ、その姿は現在72歳、戦争反対を訴えながらも戦闘機は好きだという宮崎駿監督と重ねる事もできるという。

初めて その3


そんな宮崎駿監督、今回は、SEと呼ばれる効果音を人の声で表現することに挑戦している。飛行機のプロペラ音や蒸気機関車の蒸気。車のエンジンの音や関東大震災の地響きの音。さまざまな音を人の声で表現。実は2006年にジブリ美術館で上映開始された短編アニメーション「やどさがし」(原作・脚本・監督:宮崎駿)でも人間の声の効果音を試みているが、スタジオジブリの長編映画ではこれが初めてだとか。私はまさか<人の声>だったなんて全く気づかなかったが(涙)、皆さんはぜひ機械や風景などの効果音には注意して頂きたい。

初めて その4


本作の主人公に関して、宮崎駿監督は「今までの作品とは全然違うと思う。観客が主人公と一体感を持って見られるタイプじゃないですから」と語っている。これまでの主人公は、『魔女の宅急便』のキキや『千と千尋の神隠し』の千尋、『崖の上のポニョ』のそうすけ等々、かつての幼心を思い出す、感情移入しやすいキャラクターだった事はたしか。今回は時代が私たちが経験していない戦争の時代で、しかも二郎は思った事をあまり言葉にもしない(考えていることがわかりづらい)性格だけに、一体感を持つ事は難しいかも知れない。しかし、夢を追っている人、決して器用ではないけれど何かを成し遂げたい人にとっては二郎と自分を重ねたくなるのでは? と私は思った。

二郎役には……『エヴァンゲリオン』の!


二郎役にはなんと! 『新世紀エヴァンゲリオン』などで知られる映画監督・庵野秀明が務め、ヒロインには女優の瀧本美織、ほか西島秀俊、西村雅彦、大竹しのぶ、志田未来、野村萬斎ら、豪華俳優陣が名を連ねている。

また主題歌を、松任谷由実が担当。楽曲は荒井由実時代の「ひこうき雲」。これは鈴木プロデューサーのたっての願いだったとか。

最後に


宮崎監督は、本作の映画化を悩んだのだという。理由は(不思議で楽しいキャラクターやドラマチックな展開のない中)『子供が置いてけぼりになるのではないか』ということ。

しかし、 その時に思い浮かんだのが、自身が子供の頃に見た映画だった。「小津とか成瀬とか、生きることのつらさが描かれていて、なぜこんな暗い映画を見なきゃいかんのかと思ってました。でもこうした作品が今も強く自分の中に残っている。子供の時に、分かりにくいものに接する体験には意味があると思い直しました」(朝日新聞より)

見終わったすぐ後の感想や反応ではなく、その映画が観客の心の中で育つことを願って作られた本作、この夏どのように受け入れられるのか楽しみである。
(mic)

『風立ちぬ』は7月20日(土)から全国ロードショー
http://kazetachinu.jp/