ネット上での政治思想をめぐる論争が殺人事件に発展、韓国に衝撃走る

韓国のインターネット掲示板「DCインサイド」で、政治や社会について独自の考えを述べていたネットユーザーが、思想の異なるネットユーザーに殺害されるという事件が発生した。韓国メディアは、オンライン上のトラブルがオフラインにまで発展したと報道。ネットが盛んな韓国に衝撃が走った。

「DCインサイド」は政治から社会、芸能、アニメ、動物まで幅広いテーマを扱う同国最大級の掲示板。毎日多くのスレッドが立ち、また大量のコメントが書き込まれている。事件の容疑者の男（30）と被害者の女性（30）は同サイトのヘビーユーザーで、共に3年ほど前から主に政治や社会のカテゴリで言論活動を行っていた。

始めのうちは同じ考えを持つ者同士として仲は良く、特に、女性は発言の内容が論理的なことから、ほかのユーザーから「女神」と呼ばれるほどの存在だった。だが昨年、男が女性の私生活を批判するようなコメントを書き込んだことから関係が悪化。今年に入ると激しく対立するようになり、徐々に思想ではなく相手を中傷するコメントが増えていった。

男は女性に対して殺意を抱くようになり、チャットサイトから女性の顔写真や住所を探り出すと女性の殺害を計画。今月５日、凶器２つを持って女性が住む釜山を訪れると、モーテルに宿泊しながら女性の自宅近くを何度も下見をした上で、10日午後、女性を襲い殺害した。

男は事件後に現場から逃走したが、防犯カメラの映像で身元が割り出され翌日午後9時45分に逮捕された。

ネット上の議論が凄惨な事件に発展してしまったことから、ユーザーたちは大きな衝撃を受けているようだ。「怖い」「政治の論争もできなくなるのか」「ネットには住民登録番号や住所などは公開してはならない」といった反応を見せるなど、動揺が広がっている。

・参照：ソウル新聞
・参照：DCインサイド

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