日本版の愛称は「NISA」に決定!
上場株式等の売却益や配当金に対する課税が10%に軽減されてきた証券税制の優遇措置が今年末で期限切れとなり、年明けから20%に引き上げられることが株式市場に少なからぬインパクトを及ぼすことが懸念されている。しかし、それとは入れ違いに投資家にとって朗報ももたらされる。日本版ISA「少額投資非課税制度」がついに導入されるのだ。同制度は金融商品のあり方や投資家の運用スタイルに大きな影響を及ぼす可能性がある一方で、問題点や注意点も少なからず存在しているようだ。そこで、本誌は今回から短期集中連載として日本版ISAについて徹底的に掘り下げてみたい。


毎年、英国では年度末となる4月5日の期限が迫ると、金融機関が派手なPR合戦を繰り広げるという。そして、それに刺激されて多くの英国民が駆け込みで金融商品に資金を投じる。なぜなら、最大で1万1280ポンド(約170万円)の非課税枠を利用できるからだ。

これはISA(IndividualSavings Account)という名称の税制優遇制度で、1999年に導入されて以来、「アイサ」という愛称でちまたに普及していった。今では、英国人の約4割がISA口座を保有しているという。同口座を通じて金融商品を購入すれば、その売却益や利子が前述の買い付け金額まで非課税となるのだから、それは当然のことだろう。

年間の非課税枠は翌年に持ち越せないため、多くの人が期限直前にバタバタと金融商品を買い急ぐのだ。英国ではこうした光景が早春の風物詩となっている。すでに察しがついた読者も少なくないだろうが、来年1月からスタートする日本版ISAは、英国の制度を手本としたものだ。

日本版の正式名称は「少額投資非課税制度」。今年末で証券税制の優遇措置が終了となることを踏まえて準備されているものだ。年が明けると上場株式等の売却益、配当や分配金にかかる税率が現行の10%から20%に引き上げられるが、代わって日本版ISAの非課税枠を利用できるようになる。

「投資家の皆さまから多数応募していただいた結果、日本版ISAの愛称が『NISA(ニーサ)』に正式決定し、ロゴマークも作成されました。今後は証券会社や銀行をはじめとする各金融機関で、この愛称が用いられることになります。同制度を広く投資家に知ってもらい、利用していただくことがことが、私たちの使命だと考えております」

こう語るのは、日本証券業協会常務執行役の小柳雅彦さん。現に5月27日付の日本経済新聞朝刊にも、大手証券やメガバンク、投資信託運用会社などが参画したNISAのタイアップ広告が一面に載った。業界の垣根を越え、金融機関が一丸となって普及を推進しようとしている。

非課税枠が得られるNISAは、あらゆる投資家に有益となる。廃止となる優遇税制のほうが有利なケースも少なくないが、かといって利用しない手はない。一方で、金融機関にも相応の利得があるからこそ、本腰を入れて同制度に関わろうとしている。



小柳雅彦(MASAHIKO KOYANAGI)
日本証券業協会常務執行役 政策本部長




この記事は「WEBネットマネー2013年8月号」に掲載されたものです。