NISAでローリスクの運用 !?
上場株式等の売却益や配当金に対する課税が10%に軽減されてきた証券税制の優遇措置が今年末で期限切れとなり、年明けから20%に引き上げられることが株式市場に少なからぬインパクトを及ぼすことが懸念されている。しかし、それとは入れ違いに投資家にとって朗報ももたらされる。日本版ISA「少額投資非課税制度」がついに導入されるのだ。同制度は金融商品のあり方や投資家の運用スタイルに大きな影響を及ぼす可能性がある一方で、問題点や注意点も少なからず存在しているようだ。そこで、本誌は今回から短期集中連載として日本版ISAについて徹底的に掘り下げてみたい。


ここまで金融機関がNISAに注力するのは、その専用口座開設を通じて、顧客を囲い込めるからだ。後述するが、同制度には?欠陥〞ともいえる制約が設けられており、結果的にそれが金融機関同士の口座獲得競争を助長している。

裏を返せば、私たち投資家はそういった動きに翻弄されてはいけない。さもなければ、後で思わぬ不利益を被りかねないのだ。冷静に賢明な選択を行なうためにも、まずはNISAの基本的な仕組みを知っておいたほうがいいだろう。

NISAは20歳以上の国内居住者なら誰でも利用できるが、開設は1人1口座で、年間100万円までの投資で得た運用益が最大5年間は非課税となる。ただし、現段階では来年以降2023年までの10年間にのみ適用される時限措置なのだ。恒久化も検討中だが、まだその決定は下されていない。

したがって、来年から毎年100万円ずつ合計500万円分の投資額が非課税扱いとなり、どれだけの収益が発生しても、所得税がまったくかからない。そして、5年経過後も保有を続けたい場合は、一度だけその後5年間にわたってロールオーバーする(持ち越す)ことが認められている。非課税期間を最長10年間に延長できるわけだ。

なお、英国のISAでは「預金型」と呼ばれるタイプを選べば、預貯金のような元本保証商品も対象となる。だが、NISAの場合は株式や投信などといったリスク商品に限定されている。「日本人の金融資産が貯蓄から投資へとシフトするのを促すためにも、かつてのマル優(少額貯蓄非課税制度)以上の普及を目指したい。そのためにも恒久化が不可欠と、私どもは金融庁に要望を出しています」(前出の小柳さん)

では、NISAを通じて主に資金が流入するとみられるのはどんな金融商品なのか?国際投信投資顧問ISA推進室長を兼任する吉田研一さんは指摘する。「ある調査データによれば、NISAでは投資リターン1〜2%、もしくは2〜5%を目指したいと答えた人が全体の6割超を占めていました」



吉田研一(KENICHI YOSHIDA)
国際投信投資顧問 ISA推進室長




この記事は「WEBネットマネー2013年8月号」に掲載されたものです。